第8話 殺し屋と不死鳥とメイドの夜 その2
「洗い物ありがとうな、そろそろ終わる?」
「もう少しで終わるよ」
未来は皿を流しながらそう答えた。
「ありがとう、頼んでもないのに洗ってくれるなんて」
「いえいえ、これから一緒に住まわせて頂くんだからこれくらいやらないと」
うーん なんか罪悪感がある、ダラダラ夫にでもなったみたいだ。
よく考えてみると、アリスさんはいつもこんな感じだったのか?
俺は1回あいつの部屋に殴り込んでやろうかと思った。
「そういや、先に風呂に入りなよ。
俺は寝る前に入るし、アリスさんはもう入ってたと思うよ」
水音が消えると俺は未来に提案した。
「うん、じゃあ入らせてもらうね」
年頃の女の子であるのだから、少しは人の家の風呂に入るのは躊躇うかなと予想していたのだが、案外そうでもなかった。
慣れているのかもしれないし、疲れていたのもあると思う。
彼女を見送ったあと、俺は凶器の整理に向かった。
押入れには短刀・拳銃・毒薬・弓など、人を殺す道具なら殆どが所狭しと並んでいる。
俺は1番気に入っている半月状のナイフを取り出して磨く。
といっても、布で拭いているだけなので磨くというよりは触っているという感覚だ。
そうしていると心が安らぐ。嫌な事や不安などを忘れることが出来るからだ。
部屋に乾いた布の音が響く。
一通り磨いたあとは素振りをして、元の場所にしまう。
何があっても毎晩しているルーティンというやつだ。
さあて、いつもだったらここで風呂に入っているけど、どうしようもないからyoutubeでも見て待つとするか。
俺はこたつに寝転がってスマホを起動する。
適当な動画を見ながら時間を潰していると、扉が開く音が聞こえた。
どうやら風呂から上がったようだ。
俺は寝転がったままそっちの方へ顔を向けると、
「ごめん、下着借りてもいいかな…」
タオルを巻いた未来がうつむき加減で立っていた。
着痩せするタイプらしく胸はかなり大きい方である。
足も綺麗だし、下手なモデルよりも細いんじゃないかっていうぐらいだ、
女性らしい体型していてずっと見てい……じゃなくて!
「なんで真面目に描写してるの俺!」
これじゃただの変態じゃないか!この最低野郎が!
俺は風を裂くぐらいの勢いでこたつの中に頭を入れた。
「……取り敢えず、アリスさんにあるか聞いてみて。
あの人はキッチンの横の部屋にいるから」
「ああ、うん ありがとう」
そう言うと未来はそそくさっと部屋へ向かっていった。
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