俺の幼馴染♂?はナニカおかしい
ドライ専門
第1話 再開! 幼馴染!
俺の名前は、
兵庫県 西宮市在住。
市立西塚北高校2年。
身長179センチ、ややがっちり型。
背が高めなことを除けば、ドコにでもいるようなフツメンの男子生徒だ。
それは……、4月も半ば、日曜朝のことだった。
ふとゴリゴリ君を食べたくなって、コンビニに出かけたんだけどさ。
「ははっ♪ オマエ、カワイイなあ♪ ほ~ら♪ ぐりぐり~♪」
コンビニ前でやたらネコ可愛がってる、野球帽被った中防っぽいやつがいた。
ひさしに隠れてるが、前髪は、やや長く、整った顔立ち。
妙にはしゃいでいたから、気になって、じーっと見てたら、あることに気づく。
「ありゃ? もしかして、……ゆーとか?」
「……ッ??!」
驚いたように慌てて飛び退き、両腕で身体を護るように構えた少年。
デニムパーカーに黒シャツ、デニムパンツにデニム帽という、ちょっと暑そうな服装は初見だが、その顔、仕草、雰囲気は、間違いない。
こいつは、俺の幼馴染(♂)、
「こいつはまた……、久しぶりだなあ!」
「け……、けけけ、けーごッ?」
慌てて俺の名を呼んだ後、何か気まずそうに目をそらす、ゆーと。
おや、何か、様子がヘンだな? というか、うん……?
「あー……、オマエ、ゆーとで、いいんだよな?」
「あ、ああっ? ほ、他の誰に見えるんだよっ?」
慌てて、ぶんぶんと手を振りながら、抗議するゆーと。
……ああ、やっぱり、ゆーとか。
いや、その、なあ。
「弟くんの方なのかなー……と」
「……え?」
ゆーとの顔が。
俺より40センチは下にある顔が。
へにょっと、泣きしそうな表情を浮かべた。
あれ……、俺、地雷踏んだ?
「……、……、……」
「いや、まて、兄弟そっくりだったろオマエら!
決して、身長がどうとかってことじゃないんだぞっ?」
「……、……、……」
ゆーとは、死んだ魚のような目で、指先で地面をぐりぐりし始めた。
……うん。
どうも俺は、フォローと嘘が苦手だ。
……話題を変えよう。
「ゆーと、何でここに来てんだ? お前の実家、東京だったろ?」
新幹線でも飛行機でも2時間は掛かる。
遠いなんてものじゃねえ、何でここにいるんだコイツ?
「ああ、えっと、それは」
ゆーとは、俺を慌てて見上げ。
少しずれかけた野球帽を必死に直して。
……再び見上げ。
「……、……、……」
何かをいいかけて言葉に詰まったのか。
顔を真赤にして、こちらをじーっと見たまま。
あうあうと、小さな呟きを漏らすばかり。
そこで、俺は、ふと察する。
「もしかして、お前、イジメにあってんのか?」
「え……? え、ええええええっ?!!」
ゆーとが、驚いたように絶叫する。
「ち、違うってっ! 違うっ! 違うっ!」
「キニスンナ! お前が豆腐メンタルだってのは、俺もよくわかってる!」
「と、豆腐メンタルってナニ?!」
「思い出すなあ。森林学校で寝ションベンして散々からかわれてよ! 泣いてたお前をかばったのは、小学3年のときだっけ?」
「ふぁーーーーーーーーーーーーーっ?!」
「いや、4年だっけか、あの寝ションベン」
「こ、ここここ、声、大きいって!」
「よーし、任せろ! 口を使っての喧嘩は、俺の得意分野! 女子泣かせの口先野郎と言われた舌鋒は、衰えてないぜ! さあ、相手は、どんな悪口をいった?」
「いや、だから、違っ……」
「やっぱり、身長のことか?! 人の痛みをほじくるとか、許せねえ!!」
「……、……、……」(ぐふっ)
大きくうめいた後。
ふらふら揺らめき、駐車場の隅で、ゆーとが屈み込む。
今度は、ぐずりながら、蟻の行列を見つめだした。
いかん。
……俺は、フォローが苦手だ。
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