第20話 エピローグ
アマンダが去った後、すぐに伯爵邸に行った僕たちは、手厚い看護の元、休養を命じられた。
その間、帝国軍はこちらの援軍が来る前にさっさと退却してしまった。
どうもアマンダの独断で動いていた節があるらしく、彼女が満足すると軍は今までの交戦が嘘のように帰って行った。
他に気がかりになっていたことといえば、テレーゼたちのことである。
彼女たちはグランデム近くの村に飛ばされていたらしく。
一日も経たない間に帰ってきた。
その時のテレーゼとクレアの泣きようといったら凄まじく。
自分たちのせいで僕とセリアが大怪我をおったと思い、一日中泣きじゃくっていた。
セリアはともかく、僕に至っては大したことなかったからいいのだけど。
セリアも全然気にしていないようだったし。
しかも、彼女たちは僕たちの看護を率先してやるようになり、献身的に働いてくれた。
食事の世話から着替えまで、何から何までやってくれるのはいいけど、ここでも幼女に世話されるんだな僕は。
っと軽く自分の運命に嘆いた。
「調子はどうだ、勇者よ」
部屋で読書をしていると、伯爵が僕の部屋に入ってきた。
その片手にはリンゴみたいな果物の詰め合わせを持っている。
なぜに屋敷の中でお見舞いのセット? 普通にメイドさんに頼めばいいのでは?
「けが人、病人と言ったらこれだろう。よく戦場の兵士にも見舞ってやったもんだ」
変なところで律儀な人だな。
いや、この人の趣味か。
僕は深くは突っ込まず、ありがたく果物の詰め合わせをいただく。
伯爵は僕に果物を渡すと、正面の備え付けの椅子に座った。
「ありがとうございます。セリアの調子はどうですか?」
「うむ。神を自分に顕現させたことにより、体に相当のダメージが残ってしまったようだ。回復するのにはしばらく時間が必要だろう」
やはりそうなのか、あれほどの力がリスクなしで使えるとは思えないし、相当無理したんだな。
僕の心配が顔に出ていたのか、伯爵は笑いながら言う。
「なぁに心配することはない。あれは幼く見えても我がローデンハイム家の一員。ちょっとやそっとでは、くたばったりはしない」
伯爵はそんな言葉を投げ帰るともう帰ろうする。
ここにきて10分も経っていない。
「さて、土産物も渡したし世は執務に戻るとするか」
「え、は、はい。後でセリアにお見舞いに行くのでそうお伝えください」
伯爵は後ろ手に手を振ると、颯爽と扉から出て行った。
伯爵が出て行って少し経った頃、僕はトイレに向かうことにした。
僕もこの屋敷に来てかなりたつし、主要な部屋ぐらいだったら自力でいけるようになたからだ。
部屋から出てしばらく歩くとセリアの部屋の前についた。
中からは、彼女だけではなく、テレーゼたちの声も聞こえる。
どうも彼女たちの看病を受けているらしい。
それなら僕も一言かけようかな。なんて思い扉を開けた。
すると、
「待って! 自分で拭くから! もう大丈夫だから!」
「ダメだよセリア! 早くしないとケイトンがきちゃう。今は私に任せて!」
「そうです。今は安静にしていてください」
「せりあ、おとなしくするの!」
半裸のセリアが、女の子四人に襲われていた。
あ、なんかデジャビュ。
僕が入ったことに気づいたのか、セリアの動きが止まった。
「ーーーッ!」
彼女は声にならない悲鳴をあげた。
すぐさま僕は扉を閉めて廊下に出た。
扉の向こう側からドタバタと音が聞こえる。
あーこれは後で怒られるな。
なんて言い訳をしよう。
しかし、僕はこんなに非日常に満足しつつあった。
はじめは後悔も多かった転移だったけれど、今ではそれもよかったと思える。
これから先どんな逆境に会おうとも僕は立ち向かわなければならないだろう。
なんせ僕は彼女たちの勇者なのだから……。
「先生のばかー!」
とりあえず、今はセリアにどう謝らなければいいのか考える必要があるだろうな。
そう思いつつ、今度は扉にノックをするのだった。
僕のパーティーはロリだらけ 玄翁 @ganou
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