概要
――僕のあの人への想い。
12人の僕の想いがここにある。
センチになった僕は目の前の花々に想いを重ねる……。
「ときめきの如月」を書いてから、一年の一月ごとの恋愛短編を書きたいなぁと思っていて、つい思いあまって始めた一話一千文字程度の短編集。旧暦と、その月に関係ある花を入れて恋愛のワンシーンを描いていこうと思います。
2017/10/16 こっそりと完結
2017/10/22 タイトルを「月々のスケッチ」から「僕たちのスケッチ」に変更
※ 褒め言葉はまったく要りませんよ~ガンガン批判してくださいませ。
あと、「ときめきの如月」も二月分として入ってますが、元々の作品も残してあります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!花々にことよせ、想いを謳う。
十二人の「僕」が、旧暦の各月に、ひとつの花にことよせて謳う、恋心。
全話まとめても一万字以下と読みやすく、一気に拝読することも可能ですが、一話一話じっくり読まれることをお勧めします。
各月の花と「僕」……ですが、花は実物とは限りません。空想のなか、地の下で芽吹きを待つ福寿草だったり、タブレットの中で妖艶に花開く月下美人だったり、着物に描かれた菊であったりします。花とともに謳われる「彼女」との関係もさまざまで、片想いだったり、結婚前だったり、別れを控えていたり……。一人称「僕」の心情と花々を含む風景を読み込んだ、詩のように感じました。
若い男性の恋心を歌った、素敵な掌編集です。 - ★★★ Excellent!!!花の香りが匂い立つ、詩的な文章。
一年の月ごとに、その月にちなんだ花を登場させ、主人公の心を花に投影させていく作品。1話の文章量は1000字ほどで、サクサク読める。文章が詩的で、途中で小説を読んでいるのか、詩を読んでいるのか、曖昧になる。文章は美しく、月に選ばれた花も秀逸。各々の物語に、それぞれの花が上手くハマっていて、主人公の胸の内や心の疼きを、表現している。
この作品を拝読して、一番好きだったのは最初の福寿草の話し。小生が雪国出身のためか、情景描写がリアルで好きだった。そして、福寿草の生態と主人公の様子が重なって見えて、心に刺さった。
旧暦や花がお好きな方にお勧め。
また、短編連作なので、時間がない方にもお勧め。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!月々の花を見つめる優しいまなざし。
睦月の福寿草からはじまって、その月に咲く花を愛でる。
その花になぞらえて、誰より愛しい人への想いを綴る。
香りがそっと漂って来る気配がする。
水無月の月下美人はまだ二人の元にあるわけではなく
それなのにジャスミンの香りを纏って、もう存在するかのようだ。
そこに無くとも想える、まるで水無月の名のように。
葉月の水面は、はしゃぐ声できらきらしている。
本当なら君だけの監視員になりたい、プールサイドの時間。
何よりまぶしい笑顔を、もっと間近で見たいと体温が上昇してしまいそう。
桔梗の花は凛として、まだ夏の名残を持つ長月にぴったりだ。
自分だけが未練があるようで、苦しくなるそんな想いは
ほんと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花ばなを案内人として、十二のこころを巡る。
異性へのときめき、ふんわりとした温かな気持ち、待つじれったさと昂揚感、伝えられなかった言葉、手放した思い、さまざまな「僕」の十二の思いを載せて一年がぐるりと巡る。
花々に彩られた、繊細で多感な年頃の男の子の心情がほほえましく、ときに読み手の恋の記憶をもチクリと刺激し、懐かしさをおぼえるとともに、切なくもさせる。
私が特に気に入ったのは、以下の三話。
・弥生(三月)…ハクモクレンの描写が秀逸、花の散り方と伝えられなかった思いが上手く重なっている。
・長月(九月)…誠実でありたいがゆえに取った相手の選択に納得しつつも、心が痛む。桔梗の青の鮮やかさが心に沁み、自分の越し方をも振り返りい、胸に刺…続きを読む