月々の花を見つめる優しいまなざし。

睦月の福寿草からはじまって、その月に咲く花を愛でる。
その花になぞらえて、誰より愛しい人への想いを綴る。
香りがそっと漂って来る気配がする。

水無月の月下美人はまだ二人の元にあるわけではなく
それなのにジャスミンの香りを纏って、もう存在するかのようだ。
そこに無くとも想える、まるで水無月の名のように。

葉月の水面は、はしゃぐ声できらきらしている。
本当なら君だけの監視員になりたい、プールサイドの時間。
何よりまぶしい笑顔を、もっと間近で見たいと体温が上昇してしまいそう。

桔梗の花は凛として、まだ夏の名残を持つ長月にぴったりだ。
自分だけが未練があるようで、苦しくなるそんな想いは
ほんとは誰もが抱えているような気もして、瞬時にせつなくなる。

柊。そうだね、赤い実ばかり有名で、花は知らなかったよ。
氷と絡み合った花。サクッと鳴る霜柱。霜月にふさわしい表現がすきだ。
薄くて脆い氷を気持にたとえて、手に残る花を大切に愛でる人。

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