花の香りが匂い立つ、詩的な文章。

 一年の月ごとに、その月にちなんだ花を登場させ、主人公の心を花に投影させていく作品。1話の文章量は1000字ほどで、サクサク読める。文章が詩的で、途中で小説を読んでいるのか、詩を読んでいるのか、曖昧になる。文章は美しく、月に選ばれた花も秀逸。各々の物語に、それぞれの花が上手くハマっていて、主人公の胸の内や心の疼きを、表現している。
 この作品を拝読して、一番好きだったのは最初の福寿草の話し。小生が雪国出身のためか、情景描写がリアルで好きだった。そして、福寿草の生態と主人公の様子が重なって見えて、心に刺さった。
 旧暦や花がお好きな方にお勧め。
 また、短編連作なので、時間がない方にもお勧め。
 1話読めば、きっと貴方のお気に入りの物語に出会えます。

 是非、御一読ください。

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