【0歳】生まれたてのあなたは




 今日は生まれたてのあむごろーの話。




「うむ、可愛くない」


 生まれたての我が子を初めて抱いて、最初に思ったのがこれ。


「さすが私の息子……! やはり可愛くない」


 目が細くて、しかも離れてる。口はひん曲がって、顔も全体的にごつごつしてる。


 特別可愛いとは思わなかった。


 それに何より『生命誕生の感動』みたいなものも、あまり感じなかった。


 もちろん愛しい存在だとは思ったけれど。


 その時は「なんだこんなもんか」とドライな自分に残念な気持ちになった。


 でも別にそれでいいのよ、と今は思う。


 子どもが生まれた瞬間に誰もが「母」になれるわけじゃない。

 息子が成長すれば、「母」も成長する。

「母性」? ワタシ、ソンナノ、ワーカリマセーン!


 そんなもん、そんなもん。


 あんまり気負わずやりましょー。




 さて、こんな感じで大した感傷に浸ることも無く母子対面は終わり、息子氏はすぐに看護師さんに抱き上げられていった。


 まず細くて頼りなげな彼の両足にマジックペンで「安室 凛」と母氏の名前が雑に書かれる。


 生まれたての赤児になんてことを!?


 びっくりした。けど、これならば確かに取り違えは起こらないわ。ローテクが一番最適なのかも。




 こうして割と冷静に私は「母」としてのスタートラインに立った。


 しかし、この後初日からいきなり育児に躓くことになるとは、この時の母氏は知るよしもなかったのである!

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