2歳児が怖がるもの



 我が家のあむごろー氏には怖いものがたくさんある。


 ダントツ一位は「鬼」。


 節分の日、保育園に現れた赤鬼さんは、彼の人生最大の恐怖であっただろう。それは想像に難くない。


 だって、らぶりーぷりちーなアムゴロー君。ママパパジジババにそれはもう可愛がられて、これまで自分を怖がらせてやろうなどと企む邪な存在には出会ったことがない。


 そこに赤鬼。

 ツノを生やして、凄まじい形相で、僕を追いかけ回す、大きな体の鬼。


 ひぃぃぃーーーーーーー!!


 直接見たわけではないけれど、保育園の先生曰く、節分イベントは

「阿鼻叫喚」

 の有り様だったらしい。


 それ以来、ふとした時に突然恐怖が蘇るらしくーー


「ねぇ、オニいる?」


 夕方、おうちの中でそれはもう情けないお顔をして立ち竦んだりするのである。


 うへへ、怯えるアムゴロも可愛いのう……!


 ちょいとよぎるドス黒い感情は心の内に秘めておいて、天使サイドの母氏はちゃんと教えてあげる。


「鬼はお外だから、ママとおうちにいれば大丈夫」


 だって、豆撒きしたもんね。


『鬼は外、福は内』


 それはきっと大事な呪文。


 母氏もやっと気づいたよ。




 これから君がもっと大きくなったら、もっとずっと怖いことがたくさん起こる。


 ーーでも大丈夫、おうちに帰れば大丈夫。



 そんな風に思ってもらえるように、今日も母氏はぎゅっとあむごろーを抱きしめるのです。




 さて、もう一つ彼が怖がるものの話。


 「雷」。


 お空でゴロゴロ威嚇する音も、彼にとっては理不尽な恐怖。雷鳴が響いた途端、やっぱり足が動かない。


 でもね、アムゴロー君。


 お布団の中、隣で寝かしつけてる母氏のお腹の音を、雷と間違えて怖がるのはやめてね。


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