【3歳児】僕が助けてあげる



 息子氏を自転車に乗せて走っていると、なんの脈絡もなく災害時の行動について話し出した。


「地震が起きたらー、ボーシをかぶって机の下」


「うんうん」


 幼稚園の帰り道のことだった。だから今日きっと先生に教わったことを確認しているんだなぁと思い、母氏は感心して聞いていた。ボーシというのも、園に置いてある防災頭巾のことだろう。


「逃げるときはー、走らない」


「うん、そうだね」


「知らない人のー、車に乗らない」


「そうだね、乗っちゃダメだね」


 なるほど、防犯対策についても学んだのね、心強い心強い。


「もし悪い人がー」


 うんうん。悪い人ね、怖い人ね。


「ママをさらったらー」


「……ん!?」


「変身して助ける」


「!?」


 いや待って待って待って。ねぇ、待って、最後だけなんかおかしかった。明らかにおかしかった。


「……え、ママがさらわれたの?」


「そうだよー」


「変身するの?」


「うん」


「な、何に?」


「シンカ○オン!!」


 おおおおっと、まさかのシン○リオン!!!

 変身ヒーロですらなく、シンカリ○ン!!!

 まさかのロボット!! 新幹線変形ロボ!!


 アムゴローよ、お前は新幹線か!!!!!!!


 ん……いや、ちょっと待て母氏、ツッコムべきはそこじゃない。


 というわけで、その後母氏とアムゴローは防犯についてもう一度話し合ったのでありました。


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