概要
(将棋が初めての方でも楽しんでいただける小説です。)
徳川幕府の繁栄にも少しずつ陰りが見え始めてきた天保年間。
二百年間「名人」を独占してきた将棋家は、強さを求めるのではなく自らの地位を守ることに固執するようになっていた……。
そんな時代に死後「棋聖」とまで称えられた一人の天才棋士、天野宗歩が生まれる。
将棋家と在野棋士の狭間で、彼女が悩み出した答えは、
「将棋指しがやらなければいけないことは、この暗く厳しい時代だからこそ将棋の楽しさを伝えること」
次世代へと将棋を繋ぐために宗歩や仲間たちが西や東でライバル(天狗含む。)たちと熱いバトルやあんなことやそんなこと…。この時代に宗歩が生まれたのは偶然かそれとも必
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!将棋を知らないあなたもきっと、彼らの戦いと生き様に魅了される
将棋は初心者……というより殆ど触れたことがなく、また歴史も学校で習った程度の知識しか持たない私ですが、気が付けば夢中になって読み耽っておりました。
ルールも何もわからずとも、『将棋の楽しさ』がしっかりと伝わり、もっと知りたい、もっと味わいたいと、どんどんのめりこんでいってしまいます。
戦いの場面では、鬼気迫る描写に圧倒され、ぐっと息を飲み手に汗握り、緊迫した空気の中、彼らが駒を打つ仕草に風を感じるほどでした。
登場人物達も魅力的かつ個性的で、彼ら一人一人が主役といっても過言ではありません。
思わず吹き出して笑い転げてしまうシーンもあれば、苦悩に打ち拉がれる者に共感して切なくなったり、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!将棋にかける想いと、高き志を持って――。
江戸時代を舞台に「名人」を目指す天才棋士たちの生き様を描いた物語。
将棋や名人と聞くと堅苦しいものをイメージしてしまうのですが、全然そんなことはなく、将棋を良く知らない人でも楽しめる活劇のような作り。
「女」というのを隠す主人公や、共に歩むことになった仲間たちの人間模様を楽しみながら、この時代の将棋の立ち位置や扱われ方、将棋家の確執が描かれて行き、それらを通して主人公の目指す「名人」の在り方が示されていく……。
その将棋にかける想いと、抱いた志を貫き通すことが出来るのか。
読みやすく、起承転結が毎回楽しい構成で追っていける稀有な将棋ものです。
宗歩たちが目指した名人へ辿り着けるのか、しっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!将棋が織り成す人情劇。笑いと涙、人々との出会いが少女を成長させる
昨今で話題となりつつある将棋。その将棋で名を馳せた一人の少女の物語。
時代劇にも似た人情もありつつも、将棋好きには堪らないシーンもまた目白押し。日本史好きの人間ならば見覚えのある名前もチラホラと出てきたりしているので、一度読んでみる事をお勧め致します。
彼女だけでなく、将棋を打つ他の人々にも歴史あり。同時に歴史の表舞台に立てず影に埋もれていく名手や名人、特技や型もあり。そんな彼等の生き様は現代社会に生きる人々にも通じる何かを訴えてきます。
将棋が好きだからという理由以外にも、人情や人間模様が恋しくなった時には此方の小説を読む事をお勧め致します。 - ★★★ Excellent!!!ひとつの遊戯に、真剣に生きる
将棋に興味がある。
時代劇と言えば江戸時代。
難しくなくライトに読みたい。
そんな貴方にお勧めの物語です。
将棋が登場しますが、
ルールを知らなくても楽しめる様になっています。
競技かるたを知らなくても「ちはやふる」を楽しめるように、
将棋の知識が無くても楽しめます。
江戸時代を背景に、
将棋に想いを抱く人達のそれぞれの物語。
一人ひとりの想いと、将棋の関わり方がリアルです。
章ごとに中心となる視点が変わり、
それぞれの物語が紡がれていきます。
魅力的な物語ばかりですが、
お勧めは何と言っても第一章の大橋柳雪編。
将棋に対して真剣に生きる宗歩と、
その宗歩と一緒に歩き、そして送り出す。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!キャラクターが濃い!素敵!面白い!
人生初レビュー失礼します!
私は将棋はルールくらいしかわからないのですがすっかりはまってしまいました。
最初は「将棋小説って対局中動きも無いしどうやって書くんだろう?」と思って読み始めたのですが、やばいです超かっこいい。バトルものを読んでいるかのような爽快感が味わえます。
指した手の意味はキャラクターの心情を通して表現されているので将棋に詳しくなくても十分楽しめます。
また、将棋だけじゃなくて宗歩が生きた時代を背景に様々なキャラクターのストーリーが描かれており、最初は「こいつ嫌なやつやなぁ」と思ってても読み進めていくうちに「そんな裏事情が!」と何度良い意味で裏切られたでしょうか(笑)…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を超え熱く胸に迫る、美少女棋士・宗歩の将棋に懸ける本気!
「将棋を知らないからって読まないのはもったいない!」
スポーツだって、ルールを詳しく知らなくても楽しめますよね。そうです、そう! あの感じです! 盤上をリングに個性的な棋士たちがぶつかり合う、そのワクワクした緊張感に引きずり込まれたが最後、読者は彼らの世界の住人となって勝負の行方に胸を高鳴らせます。現に私がそうなのです。
そしてそして! 何といっても主人公宗歩をはじめとした、将棋に魅入られた人々による群像劇になっているところが、この作品の大きな魅力のひとつです。
師弟の愛情や確執、才能がありながら家柄の壁に阻まれ自ら道を拓かねばならぬ者、反対に名門に生れながら才に恵まれないが故に葛藤し…続きを読む