概要
三國志の終焉は、晋朝の先にあった
漢を脅かした匈奴の王、冒頓単于の子孫、劉淵。
晋朝にあってその人ありと目された彼は、やがて未曾有の争乱を引き起こす。
皇統とは、天下とは。
晋朝にあってその人ありと目された彼は、やがて未曾有の争乱を引き起こす。
皇統とは、天下とは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!三国統一が成されても、動乱は終わらなかった。再びそこから始まったのだ。
「襲」という漢字には、2つの異なる意味がある。
1つは、一般的に知られるとおり「襲撃」の意味。
もう1つには、「正統なものを引き継ぐ」という、
「襲名・世襲」の熟語に表現される意味がある。
さて、本作のタイトルに掲げられた「襲う」とは、
果たして、どちらの意味で使われるのだろうか。
三国時代の動乱を制した司馬氏は西晋を建てた。
が、その短命な王朝の下、世は太平から程遠く、
帝位は最早、唯一志尊の座とは呼べなくなった。
諸王が血で血を洗って争う景品に成り下がった。
本作の語り手は陳元達。匈奴の血を引く文官で、
同じく匈奴の劉淵が建てた漢の重鎮の1人である。
誠実でどこか朴訥なところがある…続きを読む - ★★★ Excellent!!!非命の宰相が語る『三國志』の終焉
三国時代を収束した司馬氏の晋、
史上に西晋と言われる時代の安定は短く、
宗族の内訌による八王の乱とそれに続く
永嘉の乱により河北は匈奴をはじめとする
五胡によって支配されるようになります。
本作は永嘉の乱を引き起こした匈奴の長、
劉淵の宰相を務めた陳元逹、字は長宏が
当時を回顧して語る結構です。
それを聞くのは石勒と張賓、石勒は劉淵の
勢力を引き継いだ劉曜を破って趙国を建て、
史上に石趙または後趙と称されます。
張賓はその知恵袋、いずれも実在の人物
であることは言うまでもありません。
『資治通鑑』のように史実を述べるだけでなく、
作中にはいくつかの仕掛けが施されています。
その一つが…続きを読む