女教皇-05
「……そう、つまり神に対する昨今の司教の有り様と、あなた達の関係は似通ってきているのです。神は私たちの持たない力を持っています。しかし、逆に私たちも神にない何らかの力を持っているのです。それを今の司教たちは神への無償の奉仕のみを求め、それを当然のこととして享受している。私たちと神との関係性はそんな歪んだ一方的なものではいけないのです。わかりますか?」
言ってることは分かるけど、なんで僕達がそれを言われているのかは分からない。フランチェスカも途中から隣に正座させられて、一緒に説教されている。僕はしびれた脚をゆっくり伸ばして立ち上がった。
「イオナ、わかったよ。……ちょっとまって」
立ち上がったのはいいけれど、やっぱり足がしびれていてふらつく。倒れそうになった僕を抱きつくようにして支えてくれたのはフランチェスカだった。
「フランチェスカ。ごめんね。ただ、顔を真赤にして話す君が可愛……いや、謝ってもらえた事が嬉しくて。笑ったりしてごめん。それから、冷たくあたってしまったのも。ごめん」
あぶない。可愛いとか面と向かって言ってしまうところだった。
セーフ……と思ってフランチェスカの顔を見ると「ううん、いいの」とつぶやき、みるみるうちに真っ赤になってゆく。
あれ? セーフじゃなかった?
「オホン。仲の良いのはいいですけど、人前では謹んでいただけませんか?」
イオナも顔を横に向けながら赤くなっている。これはかなり恥ずかしい。僕はしびれる脚で無理やりフランチェスカから体を離した。
僕がその場の微妙な空気に耐え切れずに笑うと、フランチェスカも、イオナも一緒になって笑ってくれた。
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