Develop 17

 Re-17は博美の書斎のソファに寝そべっていた。天井を見上げ、口は開いたまま、手脚は気怠げにソファからはみ出している。

「随分と元気がないみたいね」

 博美がくすり、と笑う。随分と分かりやすいロボットだ。

「麗紅ともう直ぐ2ヶ月会ってないことになるんだ」

「麗紅ちゃんと会いたいの?」

「会いたいよ」

 人間の17歳の少年ならまず、こんなに素直には答えないだろう。彼らしいピュアな答えに博美は口許が緩んだ。

「いい情報を教えてあげる」

 Re-17が上体を起こす。博美は「ただし」と悪戯に口の端を吊り上げながら、言葉を続けた。

「悪い情報もあるけど、聞く?」

 Re-17は少し迷った後に首を縦に振った。

「いい情報から教えてあげる。麗紅ちゃんのリハビリが終わった」

「本当?!」

 Re-17がドアの方へ駆けるのを博美が制す。服を引っ張られ動けない状態のRe-17に博美は続ける。

「まだ話は終わってないわよ。これから2ヶ月後、麗紅ちゃんはまた手術をする。大事な手術よ。その時は」

「また会えなくなるの?」

 博美が黙って頷く。頷いてみせた博美にRe-17が寂しそうに少し俯く。

「情報のついでよ。賢い考え方を教えてあげる」

 Re-17が顔を上げたのを見てから、博美は唇を湿らせてからゆっくりと口を開けた。

「このあと2ヶ月を無駄にしないこと」

「それだけ?」

「それだけ」

 博美が言った言葉の奥に隠れている意味がRe-17にはまだ分からなかった。少し、頭を悩ませた後、Re-17は博美に礼を言い、急いで書斎を出ていった。

 半開きになった書斎のドアを見つめ、博美は深く椅子に座る。

「あの子にとってのはいったいどんなものなのかしらね」

 Re-17が向かった先を思い浮かべながら、博美は口許の笑みを浮かべずにはいられなかった。


To be continued......

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