美しい文章で綴られる、何気ない日常の物語が、不思議な魅力を放つ作品です。幽霊が見えるとはいえ、主人公は受験を控え、友人や家族もいる普通の学生。でも、だからこそ、この物語でなくてはならないのだと感じました。主人公が普通なら、幽霊もまた、普通の人間であったもの。しかし、それであるがゆえにその境界は非常に危うく、派手な事件や特別な背景がないからこその、日常と隣り合わせの魔の領域があぶり出される、そんな作品です。個人的には「供養版」が好きですw
ホラーだけではない、淡々とした描写の人間愛がお気に入りです。特に最終話がオススメです。こういうホラーは良いですね。
1話完結のストーリーに暗くない淡々とした描写。それほど怖くないけれど、読後に残るものがある。上手く言えないけれど、どこか切ない、不思議な感覚。一度読んでみてその感覚を確かめてみてください。
一話一話が読みやすかったです。また文章力も高く、それでいてわかりやすい内容でした。主人公と霊の何とも言えない切ない関係性は、見ていて考えさせられるものでした。届くようで届かない感じ、言葉にし難いのですが。雰囲気は素晴らしかったです。
幽霊が見える少年の日常を切り取った短編集。大きな出来事があるわけではなく、幽霊がただそこに在るという事実が静かに語られます。大きなヤマを作らないことで幽霊の実在感が増しているように思えました。ほのかに切ない気分に浸れておすすめです。
もの悲しい幽霊話が、短くまとめられていて、その短い中にもちゃんと起承転結とオチがあり、ウマイ! 思わずうならされました。学生さんとプロフにありましたが、文学部の方でしょうか? その若さでこの完成度、まさに幽霊を見たような気分です。大げさかもしれませんが、少しラフカディオ・ハーンを思い出しました。タイトルも秀逸。センスを感じました。
夏にふさわしい怪談物語です。序盤の夏の描写がとてもよくて、一気に引き込まれました。今読むのがいい作品です。秋になってからでは遅いですよ。形式は短編連作風味となっています。1話1話が短めで、とても読みやすかったです。僕個人としては、二幕と八幕が好きです。この物語の魅力を一言で表すとすれば、切ないハッピーエンド、でしょうか。そういった雰囲気が好きな方には、ぜひおすすめしたい作品です。
ホラーは怖くてあんまり読まないんですわたし。でも、タイトルがわたしを呼ぶので、仕方なく(すみません。。)読んでみたら、第二幕できゅんとして泣きそうになりました。そして思ったのは、ホラーってどうしようもなく切ないものかもしれないな、ということです。なんとなく感覚的にそう思いました。重さに切なくなって、ときどき背筋が涼しくなる。静かに、でもごうごうと流れる川みたいな。技術としては、地の文が繊細で惚れます。映像化してもおもしろそう。夏の暑い夜のお供となりそうな、そんな作品です。
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