概要
死んだあと、人は一度だけ言葉を発する
デザイナーベビーが公然と行われ、また義体化技術が飛躍的に進歩した近未来。自殺遺伝子、疾患誘発遺伝子の特定、言動統制、科学技術のによるう個々人コントロールシステムの導入により、「死」という概念が急速に忘れ去られようとしていた。その中で私が、二人の死を通して、「死」の社会的機能を知るお話。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!行動は感情を規定する
行動は感情を規定する。
そしてその行動は、技術や社会が規定する。
そんな現代社会の行き着く先を描いた短編です。
冒頭、主人公は疑問に思います。
姉の葬式で泣く私は、悲しいから泣くのだろうか、泣くから悲しいのだろうか。
もし、泣くから悲しくなったのだとすれば。
思考は加速し、感情の由来を探っていきます。
現実の延長として高度な監視と医療を備えた本作の社会は、人の形質そのものを変化させます。
それは最適化・効率化を繰り返し徐々に人を均一にしていきます。
この流れが進めば、誰もが同じ体で同じように行動し、同じ感情を抱くはず。
だとすれば、彼我を別つものは何なのだろう。
他者と同じように感…続きを読む