プロローグⅡ
「・・・・・・」
俺は無言で携帯を手に持っていた携帯で夜明に短文のメールを送った。
この無言の時間はさゆりにとって不快だったようで、すぐに言葉を挟んできた。
「シカトですか最低ですね。もういいです。この話はなかったk...」
「いいよ。話してやる。」
「えっ......。」
さゆりはこの返答には思ってもいなかったらしく、動揺が隠しきれていない。
「本当にいいんですか先輩?誰だって自分の過去は詮索されたくないのに...
やっぱりいいですこの話は。じゃあ行きましょう!あの美味しいケーキのお店に!あそこのミルフィーユ大好物なんですよ」
『なかったことにしてはいけないんだっ!!』
いつもと違う様子の俺を見てさゆりは驚きを隠せない。
俺だってこんなに普段からは大声を張ることはしない自分でも驚くほど動揺している。そしてひと呼吸おき話を続ける。
「どっちみち俺たちの過去を知っている時点で直接的ではないにしろ間接的には関わっているんだろ。」
「はい.......」
「じゃあいくぞ」
「どこにですか?」
「こんな場所であの長い話を全部話していたらいくら4月の終わりでも風邪をひいちまう。だから俺のいきつけの喫茶店で話す。ついでに当の本人たちがいたほうがいいし。」
「分かりました。じゃあ先輩ごちそうさまです。」
『結局俺のおごりかよ!!』
さゆりはクスっと笑った。
気が緩んだのだろうか先ほどよりもさゆりの表情が柔らかくなった。
「先輩早く行きましょう!」
俺はおう、と軽く返事をし目的地へと歩き出した。
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