ナオミ
ナオミが悪い。ナオミは俺に「貴方は破滅型じゃない」と言った。なぜか、とてもムカついた。よし、破滅してやろうじゃないか。俺は強く決意した。心に火がついたのだ。
家を売った。会社を辞めた。離婚した。退職金で豪遊した。そして、あり得ない発病。仕事はするなと言われた。あっさりと自己破産。破滅である。それから5年、破滅は続いている。収入は障害年金だけ。年間200万円以下で暮らしているのである。
昨日、U氏に言われた。破滅に成功してるじゃないですか。一瞬、嬉しかった。しかし、喜べることではないと後で気が付いた。破滅は美しくないどころか、惨めで苦しいものだ。ナオミが悪い。
U氏は、あとは永久入院して死んで完成ですと述べた。それを聞いていたM氏は怒った。死ぬまでにどれだけの時間があるのか、と。U氏は悪い人で、M氏は良い人だと思った。もちろん、一番悪いのはナオミだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます