エコニコ物語

この物語は「昔昔あるところにお爺さんとお婆さんがいました」という物語ではない。

貧しい中年男と、ある公務員男性との物語である。

中年男は赤山なのでアカちゃん、ある男性は苗字が向一なのでムカちゃんと呼ぼう。


ムカちゃん「セブンスターなんていう高価なたばこはいけませんよ。生活保護寸前なんだから」

アカちゃん「そう言われて、エコーにしたんですよ」

ムカちゃん「タバコなんてやめなさい」

アカちゃん「俺はタバコを吸うために生まれてきたんや」

ムカちゃん「でもまあ、エコーにしたんなら偉い。タバコ代が半分になったでしょ」

アカちゃん「いいえ。セブンスターが1箱460円、エコーは250円なんですよ」

ムカちゃん「だいたい半分やないの」

アカちゃん「今まで1日1箱やったのが、エコにして2箱に増えてん」

ムカちゃん。キョトンとして絶句。

アカちゃん「正確に言うと、あんたのお蔭で、タバコ代増えてもたわ」

アカちゃん「なんせ、エコニコ(エコー2個)って言いやすいねん。ワンコインやねん」

ムカちゃん「庶民はそんな贅沢はしたらあかん」

アカちゃん「何故?」

ムカちゃん「そんなん理由なんてない。安全な人生が一番なんや」

アカちゃん「それはあんたの個人的な信条、公務員の典型やわ」

ムカちゃん「じゃあ、勝手にしたら良い。俺はもう面倒見いひん」


まあ、こんな出来事が実際にあったわけだ。

喫茶店でモーニングを食べるのが贅沢だとか、1000円のランチが贅沢だとか、アカちゃんはそんな話を聞かされて頭が狂ってしまった。


その後、アカちゃんがどんな人生を送ったかは知らない。

一方、ムカちゃんは臨床心理士という資格を活かして稼ぎまくったと言う。

しかし、ムカちゃんはその後、訴訟を起こされ、財産没収、生活保護になるどころか、刑務所に入りましたとさ。


メデタシ。メデタシ。


これがエコニコ物語。

合言葉はもちろん「エコニコ」ですのう。

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