第18話【回想】scene1
キャサリンが下駄箱に佇んでいる。
一つの下駄箱を睨んでいた。
……それは、アリスの下駄箱だ。
「……許さない、絶対に。」
アリスの下駄箱に手紙を忍ばせ、彼女は踵を返し、去っていく。
……その姿を見ていた者がいた。
彼女が去ってすぐに、アリスの下駄箱を乱暴に開ける。
「……やっぱりアイツが!お姉ちゃんをもう、これ以上傷つけさせるもんか!」
手紙を開き、文面を
呼び出しの手紙。行かせるわけにはいかない。
「僕が行くしかない。」
手紙を握り潰し、呼び出し場所へと足を向ける。
二度と僕のお姉ちゃんを傷つけさせるものかと。
その場所は、旧校舎の最奥の教室。
話し声が聞こえる。ここで間違いない。
僕は立て付けの悪い引き戸を乱暴に開いた。
キャサリンを始め、いつもの三人に加え、見覚えのないメンツが振り返る。
……一人だけ見当たらない。
「……あら、なんでルイスがいるの?私、アリスをご招待したつもりなんだけど?」
キャサリンが皆の中心の机に、足を組ながら余裕の表情で見下ろしている。
「……お姉ちゃんは来ないよ。だって、知らないもの。」
キャサリンの目の前に丸めた手紙を叩きつけた。
「……そう、アリスは来ないの。余計なことしてくれたわね。落とし前、つけさせてもらうわよ……?」
……彼は彼女が、既に正気ではないことを、悟る。
この日を境に、ルイスが大好きなお姉ちゃんの元に帰ることはなかった………。
~scene1~終了
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