第15話

アリスは悩んだ。



そして、まとまってはいないけれど、心は決まった。



「……私はここでいっぱい、愛情は何かを知りました。とても……、とても感謝しています。キ、キスとかは困りましたけど、い、いやじゃなくて。ここに居たい……、気持ちもある。

でも、私のいるべき場所はここじゃない……んです。メアリーアン……、メアリーアンが待っている世界が私の世界。……帰りたい。

会いたい!メアリーアンに!ごめんなさいって!ありがとうって!伝えたいです……!」



白のクイーンは優しく頷く。



「その言葉を待っていましたの。

本音が言えないほどに心を塞いでしまっていたアリス。それを解き放つために、私たちは居るのですわ。

……あなたのための世界とはいえ、あなたが忘れないでさえくれれば、私たちも永遠に存在できます。

悩んだら、またいらっしゃい。いつでも、大好きなアリスを皆で迎えましてよ?」



そういうと優しく、あくまで優しく、頬にキスをした。



「真っ直ぐ、ひたすら真っ直ぐお進みなさい。出口が見えてきますよ。……振り向かずにお行きなさい。」



繊細で綺麗な指で真っ直ぐ、行き先を示す。


アリスはゆっくり、ゆっくり歩き出した。


……暫くすると白のクイーンは消えていた。


構わず歩き続ける。



「……メアリーアン!待ってて!私、あなたところに絶対帰るからね!」






……そんなアリスに小柄なものがしがみついた。

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