第15話
アリスは悩んだ。
そして、まとまってはいないけれど、心は決まった。
「……私はここでいっぱい、愛情は何かを知りました。とても……、とても感謝しています。キ、キスとかは困りましたけど、い、いやじゃなくて。ここに居たい……、気持ちもある。
でも、私のいるべき場所はここじゃない……んです。メアリーアン……、メアリーアンが待っている世界が私の世界。……帰りたい。
会いたい!メアリーアンに!ごめんなさいって!ありがとうって!伝えたいです……!」
白のクイーンは優しく頷く。
「その言葉を待っていましたの。
本音が言えないほどに心を塞いでしまっていたアリス。それを解き放つために、私たちは居るのですわ。
……あなたのための世界とはいえ、あなたが忘れないでさえくれれば、私たちも永遠に存在できます。
悩んだら、またいらっしゃい。いつでも、大好きなアリスを皆で迎えましてよ?」
そういうと優しく、あくまで優しく、頬にキスをした。
「真っ直ぐ、ひたすら真っ直ぐお進みなさい。出口が見えてきますよ。……振り向かずにお行きなさい。」
繊細で綺麗な指で真っ直ぐ、行き先を示す。
アリスはゆっくり、ゆっくり歩き出した。
……暫くすると白のクイーンは消えていた。
構わず歩き続ける。
「……メアリーアン!待ってて!私、あなたところに絶対帰るからね!」
……そんなアリスに小柄なものがしがみついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます