第14話

「何だかんだで美味しいとこ、持っていきやがって。」



そういうと、門番たちから、慣れた仕草でアリスを奪う。



「え?はい?」



戸惑うアリスを強く抱き締める。門番がむくれるのを後目にすかさず、優しくキスをした。(がぁ!)



「あーずるいですぅ!」


「……ずるいです。」



そういうと両脇からアリスを引っ張り、頬に唇を押し付ける。

アリスは戸惑いの連続だ。(クソガキどもが…。)






「……どこにいらっしゃるかと思えば、こんなところに。なんてことでしょうね?」



鈴のなるような優しい声色の、優雅で清楚感の漂う可愛らしい女王が対峙していた。

笑顔が少し怖い。



「あなた。そして……、おまえたちは戻りなさい。」



有無を言わせない口調。



「「はーい。」」


渋々、門番たちはもと来た道を戻っていく。


「申し訳ありません、アリス。困ってしまいましたわよね?大丈夫ですわ。……後で叱っておきますから。」



さっきとうって変わってとても甘く、優しい声音。



「アリスには敵わねぇなぁ。ガチで可愛いけど、俺にもそれくらい優しくしてくれてもいいじゃねぇか。」


「……先に奪っておいてよくぬけぬけと仰いますこと。」


「…へいへい。じゃあな、アリス。」


渋々立ち去る白のキング。



「喧しかったでしょうね。安心くださいな。私がもう横暴なことはさせませんわ。」



優しく、優しく微笑む白のクイーン。





「……まだ、悩んでおいでですの?でも、決まっているのではないでしょうか。

ここは心地がいい。そう思われるでしょう。

けれど、ずっといるわけにはいかないと。

聞かせてくださいませ。

人がいては言えないのであれば、いないと思いなさい。私を石像が何かと思えばいいのです。」



静かに、ただ優しく促す白のクイーン。


アリスの心はどちらを選ぶ……?

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