第4話

「……なんなのよ!あのウサミミ!年下だからって油断したわ!……初めてだったのに。」



顔の赤いまま、ここにいても仕方がないので宛もなく歩き始めるアリス。(許さねぇ…。)



「……やぁ、女の子が一人でどうしたの?」



気がつくと薄暗いうっそうとした森の中。

頭上から声がした。

そこには猫耳と尻尾の少年が器用に枝の上で寛いでいた。



「……また耳。」


「なぁにぃ?時計ウサギにでもあった?ふふふ……、災難だったねぇ。アイツはウサギの皮被った狼だよ?ククク。」


「……そうね。」


「……キスでもされちゃった?」



少しトーンを変えていることにも気がつかずに黙り混んで赤くなるアリス。



「……妬いちゃうな。」



そういうとふわりと木から降り立つチェシャネコ。

アリスに音も立てずに近寄る。(ああああ…。)



「……可愛いな。ねぇ、ここにいなよ。ボクとアソボうよ?ね?……淋しかったんだよ?

癒してよ、……。」



にじりよるチェシャネコ。(クソガキが…。)



「な、なに?え?え?ひゃっ!」



まるで体重を感じないのに押し倒されるアリス。(うあああ…。)



「な、なにするのよ?!」


「……何って?癒してもらうの。」


「ん!や!ど、どこ触ってる、の!はん!やぁ……。」



チェシャネコはアリスの体に抱きつき、スリスリと顔を埋める。(やめろぉぉ…。)



「や、やめてってばぁ…。」


「アリスの体、あったかい……。」



その瞬間、小さな影が飛び出した。

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