第18話 隊長にもいろいろある Part 2

「いやぁ、トリシェちゃんは面白い子だね」

「こっちはてめぇの悪ふざけのせいでいろいろ酷い目にあってるんだが?」


トリシェは久しぶりに姉との再会と和解の機会のため、別の部屋に移動していた。

残るは外から覗いているアイズと部屋に残った弟だけである。


「ねぇ、兄さん。顔が凄いことになってるけど大丈夫かい?」

「なぁ、弟よ。俺の顔凹んでない?」


トリシェに顔面を強く握られたせいで顔がすごいくぼんでいる気がする。

あれ?これ顔元に戻るよな?


「でも、とりあえず感謝してるよ。トリシェちゃんを無理にでも連れてきてくれて。妻がずっと気にしていたからね。家出した後どうなってたのかも」

「拾ったのは偶然だがな」

「まさか兄さんが当時幼女だったトリシェちゃんをあんなことやこんなことして可愛がって自分だけの女にするだなんて予想も出来なかったらさ」

「その色々寒気がする説明をやめたまえ、俺がロリコンだから助けた見たいじゃないか」

「…」

「え?何?本当にそう思われてたるするの?」

「ちなみにうちの妻はそのことに関して伝えたら兄さんのことは絶対に許さないそうだ」

「ちょっと待て。お前奥さんになんて説明したんだ?」

「そしてここからが本題なんだけど」

「聞きたまえ弟よ」

「アイズちゃんの今後について」


やっぱりそこか。


「思っていたよりは怖くないんだけどねぇ。これだったらまだ他の魔物、オークとかゴブリンの方が恐ろしい容姿してるとは思うよ」


そんなアイズに窓越しで手を振りながら弟は言う。

アイズも笑顔で手を振り返す。


「勇者の子供は皆、『ああ』なのかね、兄さん」

「『ああ』って?」

「でかいだけならまだいい。だけどあれは、鉄の剣を指で折り曲げる程の怪力。アイズちゃん、恐らくまだ成人してないんだろう?」

「…ああ、本人が前に十歳ぐらいと言っていた」

「成長しきったらそれこそどんな化け物になるのか、楽しみだねぇ」


アイズがこれ以上成長するのか。

マジで住処どうしよう。


「オーク、オーガ、ゴブリン。人間より基本的に力が強い魔物といえばこの変だけど、どれもあんなに軽々と武器を破壊出来ない。あのままもし、警備の奴らがアイズちゃんを攻撃してたら。どうなってたんだろうね?」

「アイズが反撃すれば全滅だろうな。反撃したらの話だが」

「へー、やっぱりかぁ。凄いねー、強いねー、これこそが『宝』なんだね」

「あの娘を兵器として利用する気かてめぇ」


相変わらず嫌な笑顔をするやつだ。

兄さん悲しい。

弟が黒くなってて兄さん悲しい。


「しないしない。少なくともアイズちゃん『は』しない、だけど兄さん新たに依頼をお願いしたいんだけどさ」

「断る、俺はこれから稼いだお金で行かねばならないところがある」


こういうときは碌な依頼をしてこない。

以心伝心だぞ弟よ。

俺にはもっと重要なことが、帰って愛しのリラちゃんに会いに行かなかければいけないのだ。


「どうせ娼婦でしょ?」

「ち、違うし、ちょっと懇意にしてる女の子にお金を渡して大人の情事を堪能するだけだけし」

「でさぁ」


兄弟仲は良好のはずである。

聞き流されても泣かない。


「勇者アキヒコの墓の在り処、それを突き止めてくれない?報酬は弾むよ」


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