閑話 化け物
僕はバケモノという名前らしいです。
何で僕はバケモノなのかって?
よく分からないけど人が僕を見るとそう言うんだ。
僕の大好きなお母さんも僕を見て言うんだ。
化け物!って
いつもお母さんは怒っている。
僕が醜いのが悪いんだとか。
僕がいるから町の中に住めないんだとか。
僕がいるから人として生活出来ないんだ、とか。
僕が悪い子だからお母さんはいつも怒っている。
大好きな大好きなお母さん。
どうしたら微笑んでくれるのだろう。
どうしたら抱きしめてくれるのだろう。
分からない。
僕に出来ることは山の山菜や魚を取ってくることだけ。
今日も取りに行く。
お母さんのために取りに行く。
人がいる町の近くには絶対行かない。
お母さんとの約束だから。
今日もたくさんとって帰ろう。
いつかお母さんが喜んでくれるのを信じて。
いっぱい採って帰る。
お家に帰る。
「お母さん帰ったよ」
山小屋のドアを開けてちゃんと声を出す。
お母さんは空を浮いていた。
天井からぶら下がりゆらゆらと浮いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます