閑話 化け物

僕はバケモノという名前らしいです。

何で僕はバケモノなのかって?

よく分からないけど人が僕を見るとそう言うんだ。

僕の大好きなお母さんも僕を見て言うんだ。


化け物!って


いつもお母さんは怒っている。

僕が醜いのが悪いんだとか。

僕がいるから町の中に住めないんだとか。

僕がいるから人として生活出来ないんだ、とか。


僕が悪い子だからお母さんはいつも怒っている。

大好きな大好きなお母さん。

どうしたら微笑んでくれるのだろう。

どうしたら抱きしめてくれるのだろう。


分からない。

僕に出来ることは山の山菜や魚を取ってくることだけ。

今日も取りに行く。

お母さんのために取りに行く。

人がいる町の近くには絶対行かない。

お母さんとの約束だから。


今日もたくさんとって帰ろう。

いつかお母さんが喜んでくれるのを信じて。

いっぱい採って帰る。

お家に帰る。


「お母さん帰ったよ」


山小屋のドアを開けてちゃんと声を出す。

お母さんは空を浮いていた。

天井からぶら下がりゆらゆらと浮いていた。

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