第14話 縛られちゃうのあり?なし
どうも貴族が嫌いなトリシェです。
なんでかは私の過去が原因で貴族が嫌いなトリシェです。
とにかく貴族がだいっっっっっっっっ嫌いなトリシェです。
でも私はなぜかその大嫌いな貴族の家に強制連行されています。
抵抗したいのですが
「縛られて口も塞がれてるのによく器用にそんな人を殺せそうな顔ができるな。その殺気向けてるの俺宛てじゃないよな?な?」
逃げられないように隊長といつの間にか隊長の言うことを素直に聞くようになったアイズちゃんに抵抗空しく縛られて馬車に放り込まれた。
「これぐらいしないと、お前に逃げられる」
とのことで。
良く分かってらっしゃる。
さっきから歯でロープを噛みちぎろうとしてるがなかなかどうして太いのなんの。
「こんなこともあろうかと特注で作らせたかいがあった」
どんなときを想定してたんだ、この隊長。
ねぇ、一回見直そう?人生。
いろいろ間違ってるから。
「お姉ちゃん、大丈夫~?」
外から大きな瞳がこちらを覗き込んでいる...じゃなかった覗いてきてるアイズちゃん。
でかすぎて馬車に入れないから歩いてついてきてるんだけど、あれ?馬車と同じスピード?
・・・
うん!考えるのをやめよう!
ていうかアイズちゃん、大丈夫に見える?これ。ねぇ、違うでしょ?
「んー!んんー!!」
喋れないのでとにかく叫びにならない何かの音を出してみる。
「ダイジョウブダヨ、ゲンキダヨ!」
と突然隊長が裏声で返事をした。
ん?
ちょっと待て。
今の私の真似かい?
違うよね?
んないくら裏声ったってそんな明らかにドスい男の声で騙される人がいるわけ...
「よかった~、大丈夫そうだね~」
騙された!騙されやがった!!
アイズちゃん!?
傷ついたよ。確実に私は傷ついたぞ!
私の声はあんなに低くないわ!
「んがー!んぐぁー!!!」
んな声でたまるかー!という抗議の声を出す。
「はははは、もうすぐ着くから大丈夫だぞ、大丈夫。そう大丈夫だ。特注で作ったドラゴンも縛るロープが徐々にすり減ってるように見えるのは俺の気のせいだ。大丈夫、ロープを解いたらダッシュで逃げればいいんだ。呻き声がだんだん猛獣のような声になってってるのも大丈夫だ。大丈夫なんだ」
そしてしばらくした後、
やっとの思いでロープを引きちぎって隊長に襲い掛かろうと馬車の外にでようとした瞬間。
「やー、いらっしゃいトリシェちゃん」
いけ好かない仮面のような笑顔を浮かべた貴族が場所の中に入ってきた。
隊長を殺す勢いで外にでた私は停止することが出来ずに、
必殺のヘッドバットをそいつの顎にクリーンヒットさせた。
「ぐふっ!」
鈍い声を出して倒れる男。
茫然とそれを眺める私。
・・・
やべー、やっちまった。
ていうかこいつ誰?
「あちゃー、そいつ例の貴族だぜ」
「お姉ちゃん、強い~」
え?
貴族?
え?
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