辻井豊

最初は私たちにクラスの担任が冗談を言ったんだと思ったんです。でも不良のOザキ君は悲鳴を残して穴の中に落ちていったんです。担任の言葉は冗談ではなかったんです。 なお、この作品は角…

　データ調査会社を単独経営する「私」の自慢の部下は、情報収集・分析に特化した非対話型ＡＩ――通称「ハニービー」。業務をこなしながら自己学習を繰り返すうちに、計八台のＡＩたちはそれ…

　ワーグの宇宙船はデブリに衝突しとある恒星系の重力に捉われていた。脱出するためにはフレアを磁場帆で受けてエンジンを再始動する必要があったが、同時に船内のデータ室はフレアで破壊され…

三本の巨大な牛蒡が空から降って来たあの日以来、東京の人々の食生活は牛蒡中心。東京在住の“私”は、勤務先の新作コレクション発表会に足を運ぶが……。 ―――――――― 【文学賞…

セルオートマトン宇宙の果てを目指した私とオクタゴンは、時空のほつれを発見する。

　砂と埃にまみれた社員十余名の小さな測量事務所が、ロボット掃除機たる「私」の職場。 　散らかる床に嘆息し、不遇に耐えながら、私は今日も任務を遂行する。 （2023初稿）

本屋で働く栞さん、彼女は本と人をつなぐ仕事をしている。 KAC2023 ～カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2023～ 第１回お題「本屋」

　2024年　世界は突如発生した巨大樹から生まれる怪物［ゼノ］によって浸食され始めていた。恐怖に侵されていく世界……、主人公のトガショウは、世界樹の脅威により避難生活を余儀なくし…

　この世とあの世の境目で、彷徨うことになった死者たちが、現世に残した未練を探して生前愛した者たちを見守っている。 　未だ生きている誰かのため、本当に伝えたい言葉を見つけたとき、た…

孤独な少年大和はある日、奇妙な生き物が見えるようになった。自分以外には不可視の存在の「メ」。彼と過ごすうちに、大和はとんでもないことに巻き込まれていく。

それはアンドロイドのタムがずっと探し続けてきたものだった。 白猫の姿をしたハッカー、シロと共に失った自分の体を回収し、最後に残った大脳皮質を集めれば家族の葬儀を行うことができる。…

かぐやSF3に投稿して落選したものを、少し改稿して載せました。 「未来のスポーツ」がテーマだったので、義体同士の格闘技に百合とメタルを混ぜました。 よろしくお願いします。

　西暦二一二二年。突如、世界に広まった終末睡眠症候群《ESS》によって、人類はわずか二年のうちに人口の四割を失い、世界はゆるやかな終焉へと向かっていた。 　十七歳の少女・島寄未希…

沢本風歌(さわもと ふうか)は、地毛が赤茶色である以外は普通の少女だ。この髪に悩まされてきた彼女は、染めてでも黒髪のみを可とする高校へ、周囲の同情と裏腹に駆け込むように入学する。…

母なる星をなくした宇宙人、アムルゼッスンは不動産星に訪れて新たな新居の星を探しに行く。

　21世紀末、一億年後に迫った破滅から逃れるために人類は永遠の「引きこもり」を選択した。 　物語はそれから百年ほど後に始まる。リツコは高度八千メートル地点に「空」へ続く階段が設置…

人間が眠っているあいだに巨大な種子のようなものになってしまう「種子化現象」が世界中で起きていた。種子化するのは男性に限られていた。このまま種子化が続けば人類は滅亡してしまう。種子…

pixivで行われた第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテストに応募していたものをこちらにも置いておきます。 審査員賞に入賞したものです。 https://www.pixiv…

本作品を改稿したロングバージョン『君がいる世界』(創元SF短編賞一次選考通過)をTHATTA ONLINEで公開中です。ぜひそちらをお読みください( http://www.tha…

一人称「僕」と三人称「彼女」の夜の点描。僕も彼女も男かもしれないし、女かもしれない

遠い未来、どこか遠い惑星。人々は大きな花の上に暮らし、花の周期に合わせて子供を生む

遠い未来。 銀河系人類社会の《始まりの星》に留学した二人の少女は、共に学び、友情を育みあう。 人と人との繋がりの在り方に思いを致す二人の上に、やがて戦争という惨禍が暗い影を落とす。

異星の都市で競飛に賭ける禽人たち。競技は絵空事なのか、未来の神話なのか。 第３回かぐやSFコンテストに応募した落選作です。テーマは「未来のスポーツ」。

二一二三年、夏。身体強化服を活用した新競技バイオニック・クロスアーツに打ち込む少女・桜田寧音は、選手として岐路に立たされていた。 部の顧問にして指導教員の鳴海楓から、支援AIを初…

カーリング男女ミックスダブルスＭＯＤ大会決勝戦。２点を追う最終エンド、後攻のラスト１投。認知症を抱えたペアのケンにグッバイを言えずに別れることになったのを後悔していた私に、ようや…

【角川つばさ文庫小説賞応募作品】 十二歳の誕生日と共に、少女冒険家ライリーは家出のような船出をする。 目指すは冒険家である父親オズウェルが消息を絶った、パゲア島。 島は神出鬼没…

【あらすじ】中央線の西荻窪。できれば停まらず通り過ぎて欲しかった。彼のことを思い出すから。話すことが苦手な不器用なバンドマン。一緒にラーメンを食べた日はずっと忘れない。 第2回…

イメージトレーニングが持て囃されるようになり久しい未来の社会。スポーツのみならず、誰も彼もが成功のための「イメトレ」に夢中になっていた。 これは、少しばかり感受性が低いがために、…

単独で宇宙空間まで上昇し、そのまま地球へ帰還できる能力を持つ宇宙機——軌道往還機。 本来有人機として設計された軌道往還機おおとりは、様々な事情から無人機として運用されていた。 予…

筆者の日々の些細な心情を文字にした日記とかエッセイみたいなものです。

　市民スポーツセンターの事務局員として働く「僕」が文書保管庫の整理中に見つけたのは、六年前……令和十五年に発出された、とある最先端スポーツデバイスの使用を規制する通知文書だった。…

酷いと思いませんか？　よくもまあ、ありもしないことをあれやこれやと。人の噂も75日なんて言いますけどその1000倍以上経っているのです。風評被害にも程があります。それをお金儲けの…

【30分小説】北斗七星 （2010初稿・2023改稿）

※なろうにも投稿しています。 　魔術師が集う街・マギアにて魔術師が首無し死体で発見される事件――首狩り事件が相次いでいた。 　皆、首を何者かに食い千切られた姿で発見され、奇妙な…

SFメディア、anon press掲載の「隷和5年度著作権制度改革（復活）の方向性検討に関する中間報告（算業構造審議会 著作権制度小委員会）」の二次創作です。作者の久乙矢氏に掲載…

終末を迎えつつある秘密結社に所属する「アカシ」は、離散していった仲間たちをずっと待ち続けていた。ある日、目の前に居なくなった仲間の1人「オウジ」が現れてーー

　完全人工出産が全国民に強制適用されるようになった未来の日本。進歩した技術は、出生児のゲノムをコントロールすることで、将来その人間に開花する「才能」までも任意操作できるまでに至っ…

初めて恋した人に告白する主人公。だが断られてしまい、主人公はどん底の沼に浸かってしまう。 その時、昔からの親友が現れた。話しているうちに、なんだかその友達がおかしいことに気付く。…

　2084年の未来。ハイパーテクノロジーの急速な発達とともに、手のひらサイズの模型自動車を乾電池とモーターで走らせるスピード競技は、非侵襲型ブレイン・マシン・インターフェイス技術…

「※ネタバレ注意」 「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」応募作品 「児童向けファンタジー小説（異世界転移）」部門 「キャラクター設定」 名前：晴田空(はれたそ…

乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わったわたくし平白亜紀子が攻略対象キャラを次々に食い散らかしていくタイプの百合小説。ラブ is バイオレンス.。 なお本編中に女性キャラクターが性的…

これは、惑星になりたいぼくにとっての、天国の話。

　すみません、決してふざけているわけではないのです。……いや、解説文は真面目にふざけているかもしれません。 　でも、「他とは違う感性で」俳句を作ろうとするとこれしか思いつかなかっ…

　とある日の深夜、いつものようにチャットで盛り上がっていた「僕」と友人は、「二十の扉」と呼ばれる水平思考ゲームに興じることになった。 　順調にゲームを進めていく「僕」だったが、質…

七夕の雨でガッカリしている人々がいる一方、それを心から喜ぶ男がおりましたとさ。

　世界を自動化するＡＩシステムのメンテナンスを自動化する手段が失われ、社会は混乱していた。生活インフラが頻繁に故障するがなおし方は誰にもわからない。異常が日常になり、普通はふつう…

空襲により焼け出された将太の前に、五歳年上の従姉妹である千里が現れる。 連れ帰られた田舎には、従姉妹に懐いた奇妙な生き物がいた。 ★さなコン３「十三不塔賞番外編」で紹介していた…

昔、老舗の薬問屋があった。薬問屋の主人にはふたりの息子がいた。 兄は優秀だったが、弟は兄に似なかった。そんな息子ふたりに、主人である父親が厳しく言いつけている家訓があった。 「離…