書こうとして延び延びになってしまいましたが……。
ホワイトフィールド第三部で使用しているラテン語の解説です。
今回は簡易版として、文法的なことは抜きにして単語の意味だけ書いていきます。
自分用のメモとしては文法も記録しておきたいのですが、知らない方が読むと頭痛くなりそうなので(笑)まずは簡単に。
<前半>
in terra:地上にて(in:~の上に、terra:大地)
聖書の一節Gloria in excelsis Deo, et in terra pax hominibus bonae voluntatis.≪いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。≫(「ルカによる福音書」2章14節、新共同訳)が元ネタ。
○各話タイトル
lumen:光
stellae:星々
同じ綴りで「星の」の意味にもなります。
altum:高い、深い
上下方向に距離のある様を表すようです。≪遙かな≫と意訳しました。
mutatur:変わる
tenebrae:暗闇
nuntiabitur:告げられるだろう(「告げる」の受動未来)
≪予兆≫としたのは意訳です。
sors:運命、託宣
novissima:最後の
「最後の」を意味する単語は沢山あり、迷ったのですが語義やネット上の羅英辞典などをみてニュアンスの近そうなものを選びました。
全体として、In terra, lumen stellae altum mutatur tenebrae, nuntiabitur sors novissima.(地上にて、遙かな星の光は闇に変わり、最後の運命が告げられるだろう)という文章になります。
<後半>
super mare:海を越えて(super:~を越えて、mare:海)
前半との対比で付けたため元ネタなどはありません。
○各話タイトル
eo:(私は)行く
言葉に航海の意味はなく≪出航≫としたのは意訳です。
secundum:~に従って
これ自体は単なる前置詞。≪従属≫としたのは強引な意訳です。
memorias:思い出(たち)を
この綴りは直接目的語を表し、標準的な訳は「~を」となりますが、secundumと合わせると「思い出に~」なので章タイトルは≪思い出に≫としました。
die:~日に
序数詞+dieで~日目に、の意味になります。ラテン語で序数詞を表すやり方(英語なら1st,2ndなどというやつ)が分からず、普通に数字を使ったので間違ってるかも^^;
cum fortuna:幸運と共に
cum:~と共に、fortuna:幸運。≪幸いあれ≫は意訳で、補うならcum fortuna sis(君が幸運と共にあるように)とかかな、たぶん。
日数カウント部分を除いてつなげると、Super mare eo, secundum memorias, cum fortuna.(海を越えて私は行く、思い出に従い、幸運と共に)という文章になります。
※ちなみに作中に出てくるポラリス(ステラ・ポラリス)や、異称のステラ・マリス、ナビガトリアなんかもラテン語です。
<エピローグ>
epilogi:エピローグの複数形。
各話タイトルに添えたのはラテン語の格言です。
supremum vale :「最後の別れの言葉」。オウィディウス。
valeは「元気で」を意味するラテン語の別れの挨拶ですが、ここでは「別れの言葉」という名詞扱い。supremumが「最後の」。
ave atque vale:「さようなら、そしてお元気で」。カトゥッルス。
ave も vale も「元気で」の意味。atqueは「そして」。元の詩では上記のように訳されるそうですが、本作では直訳的に「元気で、元気で」とした方が近いかな、なんて思っています。
引き続き詳細版も書きます。