佐斗ナサト

大工を目指していたけれど、家族の願いに応えるために夢を諦めた中年のヴェルナール。彼がある日迷い込んだのは、不思議な獣の姿をした青年・ベットの邸宅だった――。 言わずと知れた「美女と…続きを読む

「人喰い」をテーマにした大正ファンタジー。雪山を思わせる静謐な文章の中から、甘い血の香りが匂い立ってくるようです。
主人公二人の過去には何が秘められているのか。続きが待たれます。

美紐采女は時代劇のかつらを作る仕事に取り組む現代の髪結いさん。そんな彼女の元にある日突然、神域からの誘いがやってきます。 かつての力を失い、五柱に分裂してしまった神様を救うのは、喪…続きを読む

疾患には目に見えづらいものもあります。そんなふうには見えなくても、泣きたいくらいしんどいときだって。そんな日常のかたちを、ユーモアを込めつつ詠んだ連作です。

練り上げられた第一話。現代にありながら髷（まげ）を結う攻めの登場シーンだけで一気に引き込まれます。ただよう憧憬と敬愛と恋の香り。続きがあまりにも楽しみです。

繊細な文章で綴られる別れと邂逅の物語。
砂利の質感や夜の空気の感触が伝わってくるような描写が実に巧みです。
じっくり味わいながら読んでください。

怪奇現象に巻き込まれた主人公・的場がたどりついたのは、妖怪たちが依頼を持ち込む探偵事務所。相次いで寄せられる難題を捌く美男子・百目と共に、的場の奇妙な日々が始まります。 レトロ×妖…続きを読む

おそらく世界に一人だろうグラタン作家によるグラタン短編集。
個人的には2話目が好きです。愛のリリックをぶちかましてくれるかわいいグラタンを飼いたくなります。

異世界でイケメン女子と結婚してマリチョット（マリトッツォ）農家をやっている転生者が、「何でマリトッツォが畑で獲れるんだよ！？」という根本的疑問に向き合うお話。 ひたすらカオスな話と…続きを読む

主人公・東雲は幕末の世に潜む忍び。女であることに周りが全く気付かないレベルの男装の麗人であり、この時点で早くも個人的に100万点です。 その彼女が巻き込まれてゆくのは、京を駆ける新…続きを読む

豊かなスペキュレイティブ・フィクションの素養が感じられる発想と、その発想を物語として展開するうえで欠かせない人間の心の描写がいずれも光っている作品です。作者さんの確固とした人生観と…続きを読む

軽やかなトークを挟みつつ、しっかりひとつひとつの作品と向き合って批評しておられるレビュー集です。
レビューだけでも読み応えがあり、毎回更新を楽しみにしています。

不死身の吸血鬼である主人公が、父の命令によって明治期の日本へ。不承不承始めた珈琲店での修行が、少しずつ彼の視野を変えていきます。温かみのある文章でつづられる人と人ならざる者の営みが…続きを読む

冷たく奔放、強欲な『青の女王』。そんな彼女にめぐってきた運命の出会いと生涯を短い文字数に凝縮した物語です。なんと美しい人だろう、という感嘆の思いに包まれます。もっと多くの人が彼女と…続きを読む

平和な国の平和な？騎士団を舞台にした物語です。まだ冒頭ですが、個性豊かなキャラクターたちと読みやすい文章でつかみはばっちり。この先が楽しみになる作品です。

衝撃の急展開が待つショートストーリーです。読みやすい整った文が過不足なく物語を引き立てます。これ以上は何も言いませんので、心を無にして読みましょう。

ウィットの効いた洋画の字幕、あるいは翻訳小説を読んでいるようなセリフ回しがユニークなBLです。探偵ものやサスペンスがお好きなのであろう作者さんの愛情とこだわりがたっぷり詰まったキャ…続きを読む

主人公は高校生男子の柊（しゅう）。彼はふとしたきっかけから、本来の体を失って女性吸血鬼に変貌します。いったい彼に何が起こっているのか、街に渦巻く死臭のする陰謀の正体は。 迫力あるバ…続きを読む

短編であることがもったいないほどの美しいディストピアもの。スペキュレイティブ・フィクションの名作とされる作品が問うてきたことが、ここにも息づいているように感じます。先入観なしでご一…続きを読む

1990～2000年代に相次いで登場した名作ファンタジーを読んで育った人は思わず唸る、謎めいた魔導書をめぐる骨太の物語。そう、海外ファンタジーキッズだった私はこういうのが読みたかっ…続きを読む

匈奴の逸話を元ネタとした、竜や魔法の息づく草原が舞台の復讐物語。長さとしては中編ながら、様々な勢力や思惑が入り乱れ、見事な大河浪漫として仕上がっています。 群像劇的な様相の中、ただ…続きを読む

血や戦いを想起させつつ、どこか静謐な雰囲気の漂うイメージが展開する神話歌集。ひとつひとつじっくり楽しんでほしいです。

多くの方がピンとくるであろう都市伝説や奇妙な実在物を巧みに取り込んだSFミステリです。壮大な陰謀の入口が見えてきて、手に汗握ります。これから先も楽しみな一作です。

作者の実体験（！）が織り込まれた、いろいろな世界の狭間にあるコンビニを舞台とした不思議な物語の連作です。読みやすい文章でつづられるお話に引き込まれます。本編を読んだら、ぜひあとがき…続きを読む

まだ始まったばかりのお話ですが、丁寧な描写とわざとらしさのないキャラクターづくりでスッと物語に入っていけます。霊感男子の門が「らしくない」スポーツマンタイプなのが個人的にツボです。…続きを読む

潮の香りが漂ってきそうなリアルな情景の中、兄の死と向き合う妹の時間が繊細につづられます。作品世界にも既に亡く、読者は会ったことさえないはずの兄の姿が、なぜか目の前に見えてくるようで…続きを読む

非常に質の高いモダンホラー短編。一切の先入観を排して、作品世界に浸ってみてください。

不思議で少しゾッとする感じ。星新一のショートショートを思い出しました。

キャラクターの背景を描き込みすぎることなく、過不足のない情報提示で、ふたりの人生のワンシーンを切り取る手腕が見事です。 熟練の短編映画を見るような、心に小さな火の灯るような、そんな…続きを読む

まだ始まったばかりの物語ですが、タイトルやキャッチコピーからは想像のつかない緻密なリアルさで会社員の（波乱たっぷりの）生活がつづられており、ぐいぐい読ませます。ヒロイン美景にはばっ…続きを読む

色彩を感じさせる美しい文章の中に、ヒヤッとさせるものがある独特の筆致に引き込まれます。裏のありそうなキャラクターたちがそれぞれ何を秘めているのか、１～２世紀前の欧州を思わせる世界を…続きを読む

控えめで善なる少年と、欲に突き動かされる底知れぬ悪霊が、期せずしてバディ関係を結ぶ物語。映像的なまでに目に浮かぶヤマ場の描写が見事です。 設定から文章まで完成度が高く、続きが待たれ…続きを読む

平易な言葉で美しくつづられる情景描写に引き込まれます。油彩画が出てくる物語ではありますが、どちらかといえば絵筆に水をたっぷり含ませて描いた水彩画を思わせるような、澄み渡って儚い持ち…続きを読む

主人公が魔法の世界に足を踏み入れた瞬間から、描写が一気にキラキラし始めます。本当に宝石がきらめくような情景が美しく、引き込まれます。作者さんの真骨頂を感じます。美しく不思議な世界に…続きを読む

作中で色を示す言葉は「青」しか使われていないのに――むしろそれだからこそ、タイトルにある「星空」と相まって、美しく澄んだミッドナイトブルーが思い起こされる物語でした。その絵画的なイ…続きを読む

すらすら読める軽妙な語り口が魅力的な作品です。各話の山場となる物ノ怪とのバトルシーンも、手に汗握らせつつもスムーズに読むことができ、次の話数へと自然に手が伸びます。十左衛門や晴明な…続きを読む