片喰 一歌

木々が結晶化する「硝子の森」に幽閉された、結晶になりつつある少女。彼女に会いに、弟はランタン片手に神殿を目指して夜の森を歩く。常夜の国へ嫁ぐ少女へ、どうしても伝えたいことがあった…

記憶が消えて行く。 妻は私をどこかにつれて行こうとする。 それが何処なのか分からない。でも私には心に残る景色があった。

この町には「名物」……もとい「迷物」がいる。間土発太(まどはった)という男だ。 こいつは神出鬼没、奇妙奇天烈にして帽子愛好家ときている。で、その当人が道の向こうから走ってやって来…

殺伐とした話しか書いてない自分の魂を洗浄するために書きました。

僕は趣味で小説を書いていた。けれど、それは本当に趣味の域で、何処にも出したこともなければ、誰かに読ませたこともなかった。 ある日、その執筆用のノートを教室に落としてきてしまう。そ…

　体育祭前日の夜、準備で帰りが遅くなった紗和は、たまたま下駄箱で一緒になったクラスメートの白井と、何となく一緒に帰ることになった。 　高校生活最後の体育祭で、一緒に実行委員をやっ…

登場人物はあなた。 これは、誰かの話ではありません。 もし、あなたがこの物語を自分のこととして読んでくれたなら―― 少しだけ、背筋が涼しくなる体験ができるかもしれません。 姫が…

小中学生の時、広島に住んでいました。 毎年8月6日は登校日で、平和学習をしていました。サイレンが鳴って、黙とうをして……それが、夏休みの当たり前でした。 思い出を振り返る、8月…

（冒頭） 暴力をされたとき、それでもなお「話し合い」で解決しなければならないのだろうか。それが理想だと、多くの人は言うだろう。だが、その理想にすがって命を落とすことは、本当に美し…

新築マンションに引っ越した翌朝 部屋の床に透明な水溜りができていた。 きれいに拭いたのに 次の日もまた水溜りがあった。 それは少し大きく 少し濁って 少しいやな匂いがした。

小学校で始まった花占いブーム。どういうわけか私は「嫌いで終わる花」を直感的に見分けられた。無邪気な遊びのなかにあった、悪意と死の気配。

仕事も家も肩書もすべてを失った男が、唯一手元に残ったカセットコンロと鍋と数個のカップ焼きそばを持って、全国の旅に出る。 旅先で食べるのは、その地のスーパーやコンビニで買った「カッ…

カクヨム短歌賞【ナツガタリ'25】（10首連作部門）応募作品

ある日突然、自分の愛するフィギュアが動き出したら――そんな『コレクターの夢』をかなえた男の体験する幸福から恐怖への転落。 微笑む彼女は何も語らず、ただ――他の“愛”を許さなかった。

蝉が鳴いていた。湿った風と、まとわりつくような陽射し。 そんな夏の街で、ひとりの“捜し屋”が動き出す。 本作品は、犀川ようさんの自主企画『第二回さいかわ葉月賞』に参加しています…

【お題で詠もう！カクヨム短歌塾】その2「思考を歌にしよう」に参加！ 今回も締切まで何首読めるかな？

聲すら届かぬ「君」を求め、喪失と記憶の闇をさ迷う十首の連作短歌。 現と幽、愛と怖れが静かに交錯する、幽玄なるホラーの詩篇。

ここにある「何か」を感じて頂ければ幸いです。 4℃めの恋。

【カクヨムコン10短編　中間選考突破作品】 都市伝説に興味を持つ男子高校。 興味本位で近づくのには、危険すぎた未知の領域に・・・。

春なので桜をお題に短歌をひねってみました。(全３首+オマケ)

狐の子、チビは近所に住む高校生、蓮君から毎朝稲荷寿司を貰っていた。ある日その様子を蓮君のクラスメイト、谷木さんが見かける。 稲荷寿司が大好きな狐の視点で描くハートフルなお話。

ある平凡なサラリーマン修一とその家族の物語。修一とその妻恵美には、３人の子供達がいた。長男長女は東京で暮らし、次男俊介はタイのバンコクで日本食の輸入卸しの会社を起業していた。忙し…

実は思いつかなかったので友人に委ねました。

悪夢のようなKADOKAWA・ニコニコ動画へのサイバー攻撃から早一年が経ちました。 当時私はそのことに触れたエッセイを書きましたが、改めてその内容と公式の情報に触れつつ、今後どう…

　暑い夏の日に、風鈴の音が響く。 　それは、実家に居た頃のある記憶を思い出させた。 　風鈴の女の記憶―― 　初音硝子様の自主企画「【お前らの短編が読みたい】『５分間』のコンテス…

　あらすじ……人工知能が発達した未来ではすでに人間は不要な存在と認識され、自分たちで作り上げたアンドロイドにより滅亡させられた。 　アンドロイドによる完璧な楽園ではやがてその“…

武藤あいねは、JR武蔵境駅近くの定食屋「こもれび食堂」でアルバイトをしていた。十人程度しか入れない小さなこの店は、店長の大上誠司があ一人で切り盛りしていた。 誠司の優しい性格もあ…

運転手がパンダの格好をした奇妙なタクシー。 家路に向かう車内で交わされる会話はいつしかパンダの身の上話に。 疾走していくタクシー。 剣呑さを増していくパンダの自分語り。 その行き…

毎年、紫陽花と共に現れる幽霊。 深川我無様の自主企画「霊夏にしやしゃんせ」参加作品です。

　我らは共に戦利品を眺めていた。 　勝利を確信し、大量のお菓子を貪り食い、宴を楽しんでいた。 　……だがそこにある人が、現れたのだった。

筆者は唐揚げが大好きである。 「今夜は唐揚げを１００個ぐらい食べたい！」 そんな夜もある。 だが、「なんか……唐揚げを２個だけ食べたいんだよな」という夜もある。 これは最近筆者…

思いついたので書きました。あたたかい家庭。

KAC20252 私はタレントの水田R**美ちゃんの大ファン。元から骨格の土台が似ていることもあり、美容整形手術で顔のパーツをいじるだけでわりと顔を近づけることに成功。メイクも…

海沿いの公園で落ち合う少女と中年男性は限られた時間を楽しむ。二人にはそれぞれ「パパ活」を利用した本当の理由があった。隠された想いを知った時、新緑の木陰に優しい風が吹いた。 　 ク…

最近離婚したばかりのツキミは、夢で見た菜の花畑を訪れる。其処は、思い出の場所だった。 ※　4/9　大変申し訳ございません。一箇所うっかり更新してしまいました。 更新箇所は「今…

死んだ状態と生きた状態が重なり合った猫。 そんなものが存在するのかと問うのも無意味だという。 僕と僕は相容れない。 相容れないけれど、重なっている。

手渡したたんぽぽの冠毛。 今も思い出す、あの瞬間を。 クロノヒョウ様自主企画参加作品 第64回「2000文字以内でお題に挑戦！」企画 https://kakuyomu.jp/…

デパートに年末のお歳暮を買いに来た。 ふと、偶然『赤いきつね』と『緑のたぬき』を見つける。 思い起こす。 苦学生だったころ『ヤマヤ蕎麦』がくれたうどん帖のことを。 あのときに…

コンテストのコンセプトを無視してレシピ付きのエッセイで勝負した、筆者・秋山機竜の運命やいかに。

重さをめぐる考察と、とある実験のお話。 ぜひあなたも、考えながら読んでみてください。

自室でよからぬことを画策する女性の元に現れたのは……。 本文中に自死に関する記述があります。閲覧注意でお願いします。 縦組みビューワ推奨です。 天川様(@amakawa808)…

金持ちそうな家に ドライバーを使って玄関から侵入した男。 リビングの窓を破って侵入した男。 そして膨らんだ袋を持ってきた女。

カクヨム短歌賞【ナツガタリ'25】10首連作部門

テニスの王子様のご招待でリチャード・クレイダーマンのピアノリサイタル素敵やった！ ピアノの金髪の貴公子はめっちゃイケメン。

KAC2025参加作品です。

部屋に入った男性が彼女に渡したプレゼントはえんぴつだった。ネットで購入したそうだが、いったい何のために？　彼女を恐怖に陥れるえんぴつにまつわるショートショートです。

二人だけの山岳部で、低山に登ったところ、嵐になりました。無人の神社に避難した夜、私達の神社に、突然やって来たおじさんは・・・

こどもが　一時　思う感情は　強い　 親は　手探りで　親だったりしますよね。

ある科学者の発明で、救われた世界。 数多の問題が解決し、偽りのない幸福が訪れた世界。 そこに住む人たちは思う……