「ホラー」「SF」「ファンタジー」等の類は、現実として経験することは出来ない。読むも書くにも想像するしかなく、本作もその想像は「絵」としてかり立たせます。「女」「花」「踏切」「雨」など私には色彩豊かに魅せられました。あなたは、どうですか「ねぇ」?
紫陽花の終、夏の気配と共に曇よりとした空の下、瑞々しい葉の陰に、そして視界の片隅に それ は。繰り返しにハッとする。確か去年も。だが遠い記憶の中でそれは曖昧に潤み溶けて流れてしまう。いつしか 異質 が紛れ込んでいる。踏切の遮断桿が陌間を分ける。だがそれは何故に、其処に在り続けるのだろう。蒼紫に潤む視界の中で、息苦しい程に。罅割れた甲高い音が警告する。途端、舞い上がる傘と声にならない叫びが劈く。明滅する遮断燈、警告音、そして激しい感情の吐露までが。潤んだ空に溶ける。 「ねぇ。」 夏が、又来る。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(247文字)
日常の中に平然と佇む化け物の姿に風流を感じました。
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