捉えようによっては、「それ」は幸せな出来事のはずだった。
主人公はフィギュアやぬいぐるみの類が大好きで、百体以上もの人形と一緒に生活を続けていた。
しかし、ある時にお気に入りの「ミコちゃん」のフィギュアやぬいぐるみが動き出しているのに気づいてしまう。
これはハッピー! 大好きな人形が自分の意志で動き出し、自分に寄り添ってくれる。それはもはや「嫁」とすら呼ぶこともできるムーブ。もうリアルな奥さんなんかいなくても寂しくない。そんな境地にすら辿り着けそうなほどの満足感。
しかし、事態を甘く見てはいけなかった……。
人形に「何か」が宿り、それが動き出すという現象。
それはある種の「ホラー」の定番。
たとえ大好きな人形だとしても、「中身」は本当に「その人形らしい人格」であると断定できるか。
人形に心が宿ったとして、一体どのように接していくのが人間としての「正解」なのか。そして、その事態をどういうものとして受け止めるべきなのか。
愛する者の姿を取っているから、余計に判断が難しい。
もし、自分の大切にしている人形に同じような出来事が起こったら、果たして「どう」向き合えばいいだろう。きっと強い葛藤を強いられるに違いない。
人間の心の「柔らかい部分」を侵食してくる、色々と考えさせられるタイプのホラーでした。
お疲れモードの主人公は、最近引っ越して来たばかりで、独り暮らし。ある目的のために広い部屋を手に入れた。それは主人公が愛する推しのフィギュアやぬいぐるみを飾るスペースが欲しかったからだ。
その推しのフィギュアやぬいぐるみには、並々ならぬ思い入れがあり、その特注のガラスの飾り棚は抜かりなく清潔に保たれていた。主人公はそれらに癒しを求め、独り暮らしであるにもかかわらず、「行ってきます」と「ただいま」を繰り返していた。
そんな主人公のフィギュアの一体に、何か異変を感じた主人公は、疑問に思いながらもいつも通り暮らしていた。しかし、その異変は留まるどころか、徐々に大きくなっていく。
その異変を初めこそ好意的に捉えていた主人公だったが、さらなる異変が主人公を襲い始める。
まさに、天国から地獄へ。
もしかして、あなたのガラス棚の中にも異変がありませんか?
誰にでも起こりうる、日常の中のホラーを描いた作品です。
是非、御一読ください。
天井まで届く特注のガラス棚が壁面を覆うコレクターの部屋。
その中には、フィギュアとぬいぐるみが整然と並ぶ。
与えられた仕事を淡々とこなし、定時を待って帰るだけの男性に、生きる意味を与えてくれたのが彼女たちでした。
その中でも特にお気に入りのフィギュア「ミコさん」――彼女がある日突然動き出す瞬間が訪れます。
男性はまるで夢のような心地を感じ、読者も含め小さな幸せへといざないます。
しかし、その幸福は日常の歯車が外れる前兆でしかなかったです……
自宅に据え置かれた100を超えるフィギュアやぬいぐるみ。それらコレクションから動かぬ視線を感じたら、あなたはどのような心境でしょうか。
ガタ――
カツン――
もし、それらが動き出したら……?
制御不能なソレ。
偏愛の果ては狂気か。
それとも悪夢の終焉を願う祈りだろうか。
集まり出すとこわいものがあります。