稀山 美波

進化した人工知能が活躍する現代、人工知能が作成した精巧な贋作品が世に出回り、問題となっている。 真作と寸分違わぬ贋作が蔓延る今、もはや真作に価値はないように思われる。 人工知能…

人類の知能を遥かに上回るそれは、更に高性能な知能を産み、更に高性能な知能は更に更に高性能な知能を産む。 技術的特異点――シンギュラリティへの到達である。

変わる時代にも、変わらないものはあるはずだ。 ここ、『Cafe＆BARあだん堂』には、変わらぬ何かがある。 三角さんかく(https://kakuyomu.jp/users/…

あいつが好きかと問われれば、もちろん好きだ。 あいつにもし恋人ができたとしたら、きっと気が気でないだろう。 しかしその感情は、恋と呼ぶには熟成されすぎていて、愛と呼ぶには軽薄す…

三つの単語にまつわる短編を書いていきます。三題噺といったところです。 小説の内容は、SF・ファンタジー・恋愛なんでもござれのチャンプルー。 単語は、ふと思いついたもの・友人から…

一年に一度、僕の誕生日に、空の向こうにいる母から魔法が届く。 自らを『魔女』だと語る母は、『世界の隠し事』を知っている。 『世界の隠し事』は、僕が十八歳まで良い子でいれば、教え…

とある星に、生体反応を確認した。 大気、重力ともに生活するに申し分ない。 類人猿型先住民によると、この星の名は『地球』。 この国の名は、『日本』。 これより、地球侵略に向けて…

一つの作品にするまでもないなあって話なんかをまとめたり、日記代わりとして使ったり、妄想を垂れ流してみたり。 ようするに、便利ノートです。 こんなURLができるまで有名人になれた…

『直観』とは、これまで見聞きしてきた経験や体験を基にして、論理的に推察された結果のことだ。そして僕の直観は、過去の経験に基づいて『この女は地雷』だと告げていた。 けれども『直感…

二十三世紀――あらゆるものが自動化・機械化され、人々は自宅から出る必要がなくなった。 学業、就労、趣味、食事。 すべてのことが、自宅で完結する。 そんな世界で生きる、ごく平凡…

前世の記憶があることなんて、夜が明ければ朝がくることくらい、当たり前のことだ。 この世界では、誰もが前世の記憶を持って生まれてくる。 それならば、前世での功績が現世でも評価され…

雑誌の編集者は、特集記事のネタを求めて、遥か遠くの星へと降り立った。 そこに住まう人々は、皆が笑顔だ。 その笑顔が、○○かつ△△で××な暮らしを実現している。

盆には決まって、西瓜を食べる。 家内の忠告も聞かずに、水道水で冷やして食べるのだ。 西瓜を冷やす流水には、流水に冷やされた西瓜には、確かに故郷の記憶が刻まれている。 以下…

昨今の巷で流行している違法薬物――通称『陽炎』。 幸福だった時の夢を鮮明に見ることができるその薬は、服用する度に体を蝕んでいく。 三回服用すれば、死に至る。 揺らめく靄のよう…

見上げれば、クジラが空を泳いでいる。 また夏がやってきたのだ。 僕はこの空の下で生き、彼女はここを空とする。 　◆ 以下のお題をもらって書きました。 「ピンクのトランク…

僕の夢が始まり、終わる。 僕の恋が始まり、終わる。 何かが始まる時、何かが終わる時。 それはいつだって、武蔵野だった。 「角川武蔵野文学賞」に応募するように書き下ろした短編…

彼女の43ミリ口径が刻んだ銃創は、未だ俺の胸骨を軋ませる。

自称『名探偵』、深見昇一(ふかみ しょういち)。 深見探偵事務所の所長である彼は、仕事なし・金なし・人望なし――ないない尽くしの探偵である。 探偵としては二流もいいところ、うだ…

『散る』というのはつまり、カタルシスである。 散ることとはつまり、解放である。 解放とはつまり、決別である。 以下の頂いたお題で書きました。 「散財」「散髪」「散逸」「散歩」…

玄関から居間まで―― 5メートル、500センチメートル、5000ミリメートル。 短く感じるか長く感じるか、それは言い方と捉え方次第かもしれない。 カリプトラ さんの、【短編…

放課後、文芸室部室。 青い二人の問答はただ、春を目指す。 春を目指す二人はただ、沼へ落ちる。 きつねのなにか さん主催の自主企画用に書き下ろした短編です↓ （https:/…

王立魔法女学園――魔女を育成する教育機関である。 そこで教鞭を振るう魔女、ロゼルタ・ベルベット。 彼女の二つ名は、『毒突(どくづき)』。 その二つ名は、ロゼルタが毒の扱いに長…

上野発、青森行――夜行列車「はくつる」。 夕刻の車窓からは、明るいビル群が流れていった。 それが今は、雪に覆われた東北の田畑が流れていく。 男と少年、二人を乗せた「はくつる」…

『桜の木の下には屍体が埋まっている』 この小説を僕に紹介してくれた彼女は、それこそ桜の花弁のような美しさを有し、今にも消え失せてしまうかのような儚さがあった。 高校の図書室に…

男が目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。 現れたのは、宇宙人。男は宇宙人に連れされられ、彼らの母船に招待されたのだ。 男を気に入った宇宙人は、彼らの星の名産である「あらゆる…

今年の盆も、あっという間に過ぎていった。 年に一度の帰省だというのに、もう戻らなくてはならない。 Uターンラッシュに巻き込まれ、中々進まない帰路。 じわりじわりと、古郷の田園風…

クラスメイトのユウキの笑顔を見ると、私は胸が苦しくなる。 この秘めた感情は、絶対に口にはしていけない。 「なあ、アイ。今週の日曜さ、二人で夏祭りいかない？」 私の心情も知らず…

十歳の誕生日を迎え、年齢が二桁になった。 ようやく大人の世界に仲間入りできたような気がする。 だから、十歳の誕生日はいつもよりちょっぴり特別だ。

旧約聖書によると、神の怒りに触れたソドムとゴモラの街は、天の火によって焼かれたという。 悪徳の街、背徳の象徴、ソドム。 ソドムの罪とはつまり、色欲、性の乱れである。 妻を持…

「水色ってのは、暖かい色だよ」 潮騒、磯の香り、渡り鳥の声――海を感じることが、水島光の唯一の楽しみだった。 先天性の全盲である彼女の世界に、色はない。 「水は透明だ。色なん…

１０年前に彼女は、世界を魔の手から救った。 世界に平和を取り戻した彼女は、未だ戦場にその身を置いていた。 「リリアーナ・ヴァン・ヘルクレイツァ。３０歳。職業は勇者、趣味は鍛錬…

支倉善、２６歳社会人。 家族構成、ろくでもない母、以上―― 「お前の妹だ。今日から仲良く二人で暮らせよ」 ――の、はずだった。 支倉遥、１０歳小学生。 中学卒業ぶりに再会し…

「夜が暗いのは、世界が大きな天蓋に覆われているからよ。月はね、天蓋に空いた小さな穴なの」 人生に疲れた僕は、生きる場所を求めていた。 人生を渇望する君は、死ぬ場所を求めていた…

読書好きの不良少年、衣笠巧。 彼の日課は高校をサボって図書館に行き、閉館までひたすらに本を読むこと。 ある日、彼がいつも決まって座る机の上には、一冊のノートが置き忘れられていた…

折原洋介、年齢１７歳。 物心ついた頃から幽霊が見え、幽霊に触れることができる男。 彼は今、初めての恋をしていた。 彼の初恋相手は千堂椿、享年１８歳。 ファーストキスも経験しない…