概要
人の本能に刻まれた色、水色。人は水色に生まれ、水色に溶ける。
「水色ってのは、暖かい色だよ」
潮騒、磯の香り、渡り鳥の声――海を感じることが、水島光の唯一の楽しみだった。
先天性の全盲である彼女の世界に、色はない。
「水は透明だ。色なんてありゃしない。なのに人は、淡い青色を水の色だと、『水色』と呼ぶだろ。水色っていうのは、人の本能に、魂に刻まれた色なのさ」
水色を愛する男、自らを詐欺師だと名乗る男、烏丸。
彼の語る『水色』は、確かに光の心を色づけていく。
暖かい寒色――人の根源、水色に。
潮騒、磯の香り、渡り鳥の声――海を感じることが、水島光の唯一の楽しみだった。
先天性の全盲である彼女の世界に、色はない。
「水は透明だ。色なんてありゃしない。なのに人は、淡い青色を水の色だと、『水色』と呼ぶだろ。水色っていうのは、人の本能に、魂に刻まれた色なのさ」
水色を愛する男、自らを詐欺師だと名乗る男、烏丸。
彼の語る『水色』は、確かに光の心を色づけていく。
暖かい寒色――人の根源、水色に。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あなたの見ている世界は何色?
色を文章で表現する。
書き手であればいつかは挑戦したいものの一つだ。
(もう一つ挙げるとすれば「音」を表現することか)
僕たちは色を知っている。
赤は赤だと知っている。
白は白だと知っている。
では、生まれた時から盲目の少女の見る色は?
さて、ここにメアリーの部屋という思考実験がある。
生まれた時から白黒の部屋でしか過ごしたことのない少女がいる。
その少女が初めて外の世界に出た時に、彼女の目に世界はどう映るのかという思考実験である。
本作の主人公である少女も先天的に盲目である。
しかし、とある男との出会いによって、彼女の中に色が生まれる。
果たしてその色とはどんな色…続きを読む - ★★★ Excellent!!!今日の作業を終えてから読んでください。語彙力がどっかへ吹っ飛びます。
「盲目の主人公」という、書き手にとってハードルの高すぎる設定を物ともせぬその筆力に、まず脱帽。
主人公の目が見えないからこそ見えている世界と、肌と心で感じる色の描写が、ひたすらに綺麗です。透明な水色が踊る、光の乱反射を感じさせるような曖昧な景色が目に浮かびます。
美しい作品に久々に出会えた、その美しさにわたしの語彙力がどっかに旅に出た。行ったその場所が楽しいのかそれとも道に迷ったのか、奴ぁなかなか帰ってこない。いい加減帰ってきてほしいのだけど、どうしたものか。
ですので、書き手の皆さまはご自分の作業をひと通り終わらせてから読むことを推奨します。あなたの言葉に足が生えてスキップしながら…続きを読む