小鹿

　入試が憂鬱な俺こと善真は、空に向かって隕石よ降れと言った。 　そして出会ったのは、空き地に大の字になって寝転がる少女。 　そんな少女こと茜は、世界が嫌になり空から隕石を呼びよせ…

ひとりぼっちは寂しいけれど、ふたりぼっちなら耐えられた。

父は、私が高校一年のときに他界した。 私にとって一番の肉親だった父。 私にはやさしかったけど、きっと父は冥界では地獄行きだ。 でもどうか、向こうで元気でいて欲しい。母と仲良くや…

(•Ӫ•) ここは武蔵野台地のそのまた辺境、郵便物を出せばなぜか九州経由で配達されることがある。これは東の久留米というその地名のせいだとは、住民ならではの笑い話で、かつてうっかり…

父に死なれ、兄は主君と共に京（みやこ）へ――。 継母と共に、亡父の隠居の城に残された若殿は、受け継ぐはずのその城を、家臣に乗っ取られてしまう。 家臣の専横は、兄の不在によるもの―…

小説を書くことについて、自分が思うことをえらそうに書き綴る。

「根無し草の四十男と、美しい鬼の女。 江戸の片隅で二人が出会ったら、おかしな夫婦ができちゃった。」 呑気な根無し草で酒飲みの男・龍（りゅう）が、謎めいた恋女房・お品（しな）の浮…

※2022.2.21　短編「荒れしみやこに咲く山桜」を、この第21話と最終話として組み入れました。 和歌の才能なし、無口で容貌は平凡。読書だけが趣味。そんな目立たない男が、平家…

弘治三年（1557年）、信濃（長野県）と越後（新潟県）の国境――信越国境にて、甲斐の武田晴信（信玄）と、越後の長尾景虎（上杉謙信）の間で、第三次川中島の戦いが勃発した。 先年、北…

※3/31に改稿、改題済み 明治23年、文明開化真っ只中の日本。 瓦斯灯で暗がりが消え、闇に棲む鬼も昔日の幻になりにけり。――ではなかった？！ 「この際、誰でもかまわねえ。－－…

五歳のときに生贄として川にささげられた少女アカルは、古の巫女によって水底から助けられ、岩の里で十五歳までを過ごす。 神の声は聞けても、巫女としては未熟なアカルに、老巫女は隣国の姫…

平清盛の末弟、忠度（ただのり）。熊野水軍を率い、海賊退治に名を馳せた勇将でありながら、一方では和歌の達人。 平家滅亡とともに散った武人の愛したものは……。 ・前編は能楽「熊野」…

平盛子は近衛基実と結婚する。 御所に移り住むが、盛子は徐々に体調を崩す。 Twitterにてお題を頂き、書きました。 ゆきあかりさまの素敵な(先行)FAです。 https://…

羽代藩の若き藩主となった朝永弘紀は藩が抱える多くの問題の解決に着手する。一方、田崎の手配で羽代城の使用人として登用された秋生修之輔は新たな仲間と出会う。弘紀主導の藩政が動き始める…

破戒無慚──仏の戒律を破りながら良心に恥じぬこと。 その言葉にちなみつけられた流浪の僧、名を無慚。行雲流水のごとく行脚する先々で起こる奇怪な事象に、奇妙な力をもった無慚が挑む噺。…

今川義元は、駿河守護・今川氏親の四男として生まれ、幼くして仏門に入れられていた。 しかし、十代後半となった義元に転機が訪れる。 天文5年（1536年）3月17日、長兄と次兄が同日…

今は昔、戦国の世の物語―― 父・北条氏綱の死により、北条家の家督を継いだ北条新九郎氏康は、かつてない危機に直面していた。 領国の南、駿河・河東（駿河東部地方）では海道一の弓取り…

明治時代を始めたとした近現代の社会や政治のお話。 エッセイ風な文章と、関連人物の史実を元にした歴史小説ごっちゃまぜです。 どれも1000文字前後のお話で、一話完結なので、気軽にお…

新選組内外の諜報活動を行う諸士調役兼監察。その頭をつとめるのは、隊内唯一の女隊士だった。 義弟の近藤勇らと上洛して早2年。主人公・さくらの活躍はまだまだ続く……！ 『浅葱色…

古墳時代。 敏達の子である押坂彦人大兄皇子と、その舎人である迹見赤檮の短編です。 蘇我と物部の対立の中で、赤檮は物部守屋の右腕であった中臣勝海を暗殺します。それをきっかけに、赤…

飛鳥時代。用明天皇の皇子として生まれた厩戸は、後の世に聖徳太子と称された。 戦の気配が近づく夏に。日が大海原へと漕ぎ出す朝に。 厩戸の周りには、いつも個性と才能溢れる側近たちが…

嘉永七年〔1854年・安政元年〕の江戸から。 大正十一年〔1922年〕の東京にタイムスリップをした美少女剣士『砂夜』 彼女が時を越えた意味は？

舞台は江戸。独身の四十男の前に現れた妖艶な鬼の女・ダキニは囁いた。 「おまえさんの、精をわけておくれ」 男が苦し紛れに案じた一計とは……。 『ノベルデイズ』の歴史カテゴリに初投…