概要
この御仏が光となるならば。
飛鳥時代。用明天皇の皇子として生まれた厩戸は、後の世に聖徳太子と称された。
戦の気配が近づく夏に。日が大海原へと漕ぎ出す朝に。
厩戸の周りには、いつも個性と才能溢れる側近たちがいる。
その中の一人······武術の腕も政の術も持ち合わせていないが、斬新な想像力と純真な心、そして確かなる物作りの腕を持った男がいた。
これは、そんな一人の彫り師と動乱の飛鳥の記憶である。
『主な登場人物』
・鞍作止利(くらつくりのとり)
・厩戸皇子(うまやとのみこ)
・蘇我馬子(そがのうまこ)
・調子麻呂(ちょうしまろ)
・秦河勝(はたのかわかつ)
・迹見赤檮(とみのいちい)
・小野妹子(おののいもこ)
・鞍作福利(くらつくりのふくり)
※この物語はフィクションです。忠実の人物とは一切関係ありません。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!造仏工から見た時代の転換期と歴史上の人物の意外な視点
所謂崇仏論争の時代、主に造仏工(ほとけつくるたくみ)の鞍作止利という人物の視点で話が進められている為、歴史的な内容はダイジェスト的ですが、日本書紀に登場する人物、例えば蘇我馬子や物部守屋といった人物の互いに対するある意外な想いや(確かに物部氏寄りの立場であるはずの先代旧事本紀では蘇我氏が悪く書かれていないのですが)、秦河勝が曲者っぽく描かれている事など、その意外な視点は私の様な日本書紀の記述に囚われがちな立場からすると斬新に感じます。
また、小説の題材としてはつい飛ばしてしまい気味な経済的な話、物部・蘇我と当時の朝鮮半島との関りなどにもきちんと触れられています。
森公章氏・加藤謙吉…続きを読む