僕が古代史の勉強を始めたのは2年前です。当初は、古墳がなぜ建造されたのか考えたこともありませんでした。関係する本を集めては読み始めるのですが、まったくのチンプンカンプン。読めば読むほど眠くなる。そんなことの繰り返し。そもそも何から勉強を始めたらよいのかが分からない状態でした。
麗玲さんの「日本古代史学習エッセイ」は、初心者が躓きがちなポイントを解説してくれるだけでなく、歴史の解説書としても俊逸です。また注目すべきは、我説によらず正当な研究者の学説を踏まえたうえで、エッセイが展開されていきます。文献は豊富に紹介しくれますし、情報量が多い。いつも感心しながら読んでいます。そんな麗玲さんと、何度も意見交換をさせて頂きました。現代の古代史に対する理解を、かなり深めることが出来ました。まるで先生のようです。ありがとうございました。
神武天皇が即位したのは紀元前660年とされていますが、1年を2年として数えていたとするとその後の天皇と寿命や即位年数が釣り合う、実際は紀元前60年とすると中国側の記録と整合する、という話が江戸時代からあったそうです。魏志倭人伝の卑弥呼ですが、中国語辞典、漢和辞典どれにも卑には卑しい意味しかないので、中国側が侮蔑しての呼称でしょうが、距離は一里435mで正しいとすると、対馬の次は出雲で、茨城県の鹿島神宮辺りになるそうです。徳島説も含めて、距離を示して、比較するものがあると良いでしょう。天皇家は男系男子の万世一系で続いたから男系で無いとダメと理系出身の有名な女性が言ったりしてますが、それにはDNA鑑定で古墳埋葬者のY遺伝子が他の人より濃いとか、神武陵などをC14で調べるべき。国紀、天皇紀の焚書は朝廷の中枢近くに漢字教育係が幅を利かせたからで駅名に中文ハングル溢れる今の時代も無いとは言えないかも。
科学的に神武天皇の年代、卑弥呼は誰で邪馬台国はどこか、など判明したら、例えば神功皇后が生んだのは1年を2年と計算なら妊娠中に遠征して本当に夫の子を産んだの有り得て男系崩れないし(石をくくり付けた話は無理があって、朝鮮半島で産んで別の子種を仕込まれたこともあり得る)、鹿島神宮や香取神宮の年代も何か科学的に解明できたら良いのにと思ったりします。孝明天皇から悠仁様も男系言うなら勿論DNA鑑定することで、明治天皇すり替え論や美智子様他人間人工授精論は跳ね返せるでしょう。
こちらは古代史に関して、信頼して良い書籍の見分け方から必読資料まで幅広く網羅してくださっています。
初学者がセンセーショナルでわかりやすいトンデモに騙されるのは大抵これらのポイントを抑えずに目立つものに飛びつくからなので、創作のために古代史を学びたい方はまずこちらに目を通されると良いと思います。
作中にある「通説を批判するためにはまず通説を知らねばならない」はあらゆる分野に通じるもの。
作中で論文のどのような点に着目して読むべきかといった指摘もほかの分野でも必ず役に立つので、しっかり設定を固めたい人はこちらを参考に資料をあたると良いと思います
皆さんは、ご自身が読んでいらっしゃる書籍、特に歴史や科学といった学術書的なものについて、それらの内容をどれくらい「正しい(正確である)」と思って読んでいるでしょうか。
この疑問について、作者さんは当エッセイに答えを用意して下さっています。そのためこれお読みになったら、きっと選ぶ書籍も変わってくるのではないかと思います。特に史実や専門的な内容を利用・反映して小説を書いていらっしゃる方であれば、参考にできる点が多々あることでしょう。
もちろん小説は虚構でもいいわけですから、どこまで「本当(真実)」で、どこからが「嘘(もしくは作者による創造的産物)」なのかは作り手に委ねられるとは思います。しかし、書き手がきちんとした知識を持って書いたものは、読み手にとってもよい影響を与えてくれるように思います。
また、読んでみて分かると思いますが、内容も面白いです。
日本の古代史について扱っていますが、日本独自の資料だけでなく、中国などほかの国の歴史的資料と比較しながら書き記している部分もあり、作者さんの熱意が伝わってきます。
取り扱っている内容が難しいので、歴史が苦手な方にはちょっとハードルが高いかもしれませんが、作者さんなりに咀嚼して分かり易く解説しています。そのため、読者の方には少し気合を入れて読んでいただければ、きっとこのエッセイの面白さを見いだせると思います。
また、史実に基づいた歴史小説などを書こうと思っていらっしゃる方は特に、参考に出来る部分があるかと思います。もちろん、日本古代の歴史について学びたい方にもよい内容でしょう。
古事記、日本書紀とそれらを考察する様々な文献を丁寧に検証されています。
これを無料で読んでて良いのかな……と思うくらい。
古代史を書きたい人はぜひ参考にしてほしい。
他ならぬ私自身が是非とも参考にさせていただきたい。
個人の主観や推理などではなく、
現存している文献を中立的な立場で噛み砕いておられるので、ある意味とても公平な資料だと思います。
トンデモ解釈をバッサリ切っておられるので、エンタメ重視の出版業界からは煙たがられるかも……と思うくらい、非常にニュートラルな感覚で淡々と執筆されているのですが、参考文献の質・量とも本当に素晴らしいです。
重ねて言いますが、無料で公開するようなレベルじゃないですよ!
無料公開ありがとうございます! 執筆者様万歳!
創作的作為って好き勝手解釈してOKってわけじゃないんですよね。
ベースとなる史実と文献と弛まぬ研究の上に成り立っているんだと、改めて実感する良い作品(資料庫)です。
格闘技経験者とのことでカクヨムでは格闘技や喧嘩物の作品を主に書かれている作者さんですが、サイトや二次ゲームの動画を見たらその読書量に驚かされました。
別作品によると資格を12個も取得なさっているそうで、そんな文武両道の作者さんが古代史の初学者向けに書かれているエッセイです。
参考にすべき論文として井上光貞氏の論文を上げられていますが、この手法は古代史に限らず別の時代でも使えそうです。
書店では古代史関連の研究本は刺激的なタイトルで溢れていますが、それらは殆どが素人が書いた著書なので、下手な物を掴まされない為に先ずはプロフィールから確認して専門家が書いた作品かどうかチェックする方法も参考になると思います。