「◯◯家」には「そのことに従事している」という意味がある。
だが、店の販売員を販売家とは言わないし、事務員などもまた然り。
どうやらこの言葉には、ある程度の専門性が必要らしい。
つまり「◯◯家」という呼称は、その分野の専門スキルを身につけた証というわけだ。
例えば「画家」なら絵、「演奏家」なら演奏の腕前が優れていなければならない。
では「小説家」の場合はどうか?
言うまでもないが、「文章」が必須技能となる。
なかには「物語の創造」と考えたがる人もいるが、それは「漫画家」や「絵本作家」も同じ。小説家に限った話ではない。
では、小説家の所以たる「優れた文章」とは何か?
ずばり「読みやすく伝わりやすい文章」であろう。
詳しく言えば、「言葉選びや構成が相応の水準でありながら抵抗なくスラスラと読め、豊かな表現によって自然と情景が浮かぶ文章」のこと。
その観点からすると、造語や専門用語、難読文字が頻出するルビだらけの作品は読みやすいとはいえない。
また、芸術性を追い求めるあまり独りよがりなレトリックにひた走るのも、他人には理解しがたいもの。むしろ痛々しさすら感じてしまう。
かといって、誰にでも書けるような雑で稚拙な口語体文章では技能とは呼べない。こういった作品は表現が不足しがちで、キャラの表情や動き、心情、場の風景などが読み手に伝わりにくい。
ましてや、地の文が極端に少ないセリフまみれの作品などもってのほか。これではクドく不自然な説明ゼリフだらけの「絵のない漫画」のようになってしまう。
何事も行き過ぎはよくないということだ。
というわけで、この企画では「小説家と呼ぶにふさわしい文章の物語」を募集する。
埋もれてこそ本物の可能性があるサイトなので、当然ながら評価の高さや出版の有無は問わない。
読み合いではないので、読む読まないは各自の自由。エッセイや創作論の参加はご遠慮願う。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「小説家と呼ぶにふさわしい文章の物語」を選択してください。
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