本作品は、失恋という青春のはかなさと痛み、そこから立ち直って新しい一歩を踏み出そうとする主人公の冴姫という少女の姿を鮮やかに描いた物語だ。
冴姫が抱く、海沢君への報われぬ思いの深さと切なさは、読む者の胸を締め付ける。
しかし、彼女はただ嘆くのではない。
受験勉強に打ち込み、新しい環境へと踏み出そうとする姿に、青春のはかなさと一歩を踏み出す力強さが同居している。
春の訪れとともに、彼女は過去を乗り越え、前を向こうとする。
恋の痛みを経験したことがある人、失恋から新しい一歩を踏み出そうとする人などにオススメしたい物語である。