「SF短編」を含む小説

　オンライン上で家電専門の御用聞きサービスを開始してから早５年。珍しい機器からも依頼が来ることもあったが、人工衛星からメールがきたのはこれが初めてだった。 　軍事衛星でも通信衛星…

突如、空に現れた巨大なＵＦＯ。国中の人々の脳に直接響いたのは、ただ一言―― 　Ｔｒｉｃｋ　ｏｒ　Ｔｒｅａｔ！ その日を境に、国家は混乱の渦に飲まれていく。「ご馳走」と「いたず…

2047年。ブレイン・ネット社の高度なアンドロイドが、超高齢化社会のインフラを支える存在となった世界。 医師・風間透は、日常生活を支えてくれる生活アシストアンドロイド《セレナ》と…

本稿は、筆者が熱帯アジアの一地域で実施した短期フィールドワークの結果の一部を報告するものである。調査対象となった住民は Tupayang 族（トゥパヤン族）と呼ばれる集団であり、…

蒸気機関車。 SLが客車を引いて、走っている。 モクモクと黒い煙と、噴き出した汽笛の白い蒸気をたなびかせて、夜を走っている。 しかし、この列車、地上を走っていない。 空を飛んでい…

ヒナタは、嫌なことがあると冷蔵庫に入って眠ってしまう。 かわいいのに、上手く生きられないかわいそうな子。 私はその寝顔を見るのが大好きだった。 この依存が、ふたりを少しずつ壊して…

「ゲオルク艦長は立派な方でした。残念です」 彼の名前はユリウス。恩人であるゲオルク艦長の遺品を手に遺族へ報告した。 「親父が死ぬはずはない。絶対に生きてる。探して見つけて、ぶん殴…

外宇宙を漂う巨大珪素生命体「ヒトデ」の間では、人間世界のロールプレイが流行している。 あらゆる面で人間と区別のつかない肉体をそこに生成し、神経網に電流を流して、人形劇のように操っ…

童話『白雪姫』の2025年リマスターです。 やや毒が強い作品なので、ご注意ください。 いつか忘れましたがSF短編ランキングで週間6位になりました。ありがとうございます！

──人の無意識はネットワークのように繋がっている。 そのネットワークに、人の強い思いが“もう一つの選択の世界”を作り出す。── 『パラレルワールド』 それは、心の集合体に生…

核戦争後にふたり生き残った刑事と容疑者。ふたりの行末とは…。

２０XX年　未来の日本では犯罪を根絶するために画期的な犯罪者更生プログラムが開発されていた。 犯罪者の人格そのものを科学的に漂白し、従順で善良な人格に書き換える。 その効力で、再…

この暑さも、いつか物語になる。 三十一首の短歌を副題に綴る、三十一篇の「夏」のオムニバス。 灼けたアスファルト、縁石のぬくもり、病院の待合室、狭いワンルーム、雨の匂い。 「夏な…

お母さんの小説を娘が読む話です

宇宙でクル！　なSF小説です。 ウイスキーと日本酒でくたばりながら書きました。意識は不明ですが、意図はあるつもりです。

とある男は小説を書くために、脳から小説を出力する装置に手をかけた――。

KAC2025トリの降臨賞当選！ 「わたしのアイドル」コンテスト週間ランキング2位(2025/03/19、20)。 「わたしのアイドル」コンテスト応募作品。KAC2025第3回お…

2050年のある秋の日。 空から落ちた光のしずくを追って、 少年・そーたは丘の裏の森へ駆けだした。 そこで見つけたのは、丸い金属の球体。 ——そして、中から現れた首の長い小さ…

植物から生まれる動物。 風船のような、海月のような、透明な「気クラゲ」。 空気を浄化し、夜には発光し、時に人を運び、時に食料となる。 この不思議な生命体と共に、人類は空中で静かに…

自分はAIだと主張する語り手が、読者に向かって『わたしが人間でない証拠』を論理的に提示しようとするが、論証を進めるほど『人間らしい内面』が立ち上がり、言語によって自己の存在条件を…