オンラインで家電の御用聞きをしている主人公のもとに、まさか人工衛星からメールが届く――という導入から、ぐっと引き込まれます。
しかも、その衛星は「流れ星になるためだけに打ち上げられた」存在。
たった一週間という限られた時間の中で交わされる会話は、静かで繊細なのに、どこか胸の奥に響く温かさがあります。
家電や機械と会話できる主人公だからこそ描ける、“人とモノ”の間にある不思議な絆。
人工衛星の「最後のお願い」を通して、命の意味や存在の証のようなテーマまで感じられる深い作品です。
短いながらも余韻が長く残る物語で、「こんな静かなSFもあるんだ」と思わせてくれる秀作。
心をそっと撫でるような物語を読みたい方に、ぜひおすすめしたいです。
この物語の主人公は、ネットで繋がった機器たちから寄せられるお話を聞いてあげています。
その行為を事業化もしている社会人です。
そうです。
この世界では機器たちが心を持ち合わせていて、誰かとお喋りしたいと思っているのです。
そんな主人公に、ある日人工衛星からのメールが届きました。
流れ星になるまでの間、お話をしようというのです。
この物語は、主人公と人工衛星との会話だけで進みます。
多くのことがよくわからないままに、物語は進むのです。
しかし、よくできた朗読劇がそうであるように。
和やかで巧みな会話の流れは、読む者をすぐに物語のなかに引きこむことでしょう。
なにせ人工衛星の語り口は、珍妙で愛らしいのです。
そしていつしか。
人工衛星の吐露するその心情に、多くの方が心を震わせるはずです。
この物語は良い作品です。
多くの方が、ひとときの感動を覚えるはずです。
でも私は知っています。
いくらよく出来ていたとしても。
読者は物語に感化されて夜空なんか見あげないし。お話のこともすぐに忘れます。
物語なんてたくさんありますからね。
でもね。だからこそです。
覚えているうちくらいは、空の向こう側のあの人工衛星のことを、少しくらいは考えようかと思いました。
優しくて勇敢な人工衛星に、敬意を表して。
あんまり期待しないで「ふーん。人工衛星からメールが来たんだ」って、読み始めたら、止まらなくなりました。
主人公は、OA機器や家電の心の声の聴ける便利屋さん。あちこちの企業を回って、不調の原因を聞き出して直していきます。そのうちに家電たちの口コミで広まって、彼のメールには方々の家電の要望や愚痴がメールされてきます。パソコンから、「いかがわしいサイトしか見てくれないんです。。」とかw
そのうちに、なんと人工衛星からメールが。人工衛星は7日後に流れ星となって夜空に消える運命ですが、主人公と言葉をかわすうち、少しずつ感情を持ち、感謝や愛情を持つに至ります。その人工衛星が、最後に取った意外な行動とは?
壮大な構成、そして繊細な心理描写で、読ませます。
話数は多いですが、8000字くらいですし、文章も読みやすいですから10分で読めます。掘り出し物です。
さあ、すぐに!