COME! in the space

わきの 未知

1. at the club "in the space"

 ボクは夜に生きる。ライブハウス・スペースシップ、名前は「イン・ザ・スペース」だ。

 入口の前から、爆弾のように鼻と尻に響くのは、アバンギャルド・パクチーの香りと4つ打ちのkick。

「アアアぁぁぁコアやめてぇ! クルゥ!」

 入口付近のカマキリ女がデカい声で叫ぶ。人工内耳をつんざいて、ボクは義体を震わせた。

 ドン、ドン、ドン、ドン。

 ボクはため息をつく。まだソーマをキメてないから、陰鬱な気分になって子宮がぶるぶる。ほら、イカれたダンスミュージックの歌詞は叫ぶ。

 COME! COME! COME! COME!

 SHOT! SHOT! SHOT! SHOT!

 ……まだシラフだぞ、ボクは。


 

「おう、歌姫ディーヴァ、ようやく来たか! パクチー、ひと噛みあげようか!」

 アバンギャルド・パクチーをやりながら受付でキてるのは、手が背中から生えまくったカエル男。「CHIKUSHO」と頭に刺青が入っている。

 こいつはが弱い女をのが趣味。今夜もカマキリ女のを長い舌で責めると、もう一度女は鳴きまくる。

「ああ! んっごクルクルクルクルウぎゅっ!」

 カマキリ女は腹から卵を出して絶頂した。どこの星の人なのだろうか。義体化率が異常に低い。

 

 入口で門番をしてるカエル男はトッドという。陽気でバカでヘンタイ。ボクは誓って、彼のヌルヌルと交わったことはない。

「本当は来たくないんだよ……」

「なんだって!? もうキたくないって、そりゃカルマだカルマ。歌姫ディーヴァ、コネクトしてくれい、コネクト!」

「はぁ……トッド、あなたは自分のコアを自慢のベロで舐めてなよ……」

「そうさせてもらうぜ、そりゃ快楽快楽、快楽快楽う、ゲコッ! 今日もお疲れ様だ、歌姫ディーヴァ、コア舐めさせて、コネクトコネクトコネクト……」

「うるさい」

 ボクはシケた顔で受付を通り過ぎて、クラブに入る。まだシラフなのだ。

 数十億の異星人と、数十億のコアが詰まったドーム。緑と紫のスポットライトが煙でかすんでいる。

 SHOT SHOT SHOT SHOT SHOT。ソーマを出せ、のどが焼けちゃう。

 

 ドームに入った瞬間、真ん中でDJをしていたパープルが、きゅんきゅんとスクラッチをして音楽を止めた。

「EVERYBODY、キかけで止められて不快だったか? 悪い悪い、ケケケ」

 サビの途中で音楽は一時停止したのだ。キマっているダンサーたちがブーイングを浴びせると、ヤツは両手をドームの頂上に向かって高く突き上げる。

「だが、光明さ。おお、見ろよ。俺たちの女王様が降臨したぜ!」

 大歓声。パープルはボクに手を差し出して、DJステージの上に招待する。ボクはため息をついて、マイクを握りしめた。

 

「ほら。飲めよ」

 そう言って彼が無造作にグラスにつぐのは、虹色のソーマ。

「ありがとう、パープル」

 ボクは小声で言って、ステージに飛び乗る。

歌姫ディーヴァがキたぞ。GET DOWN!」

 パープルは既にキマっているらしい。楽しげにきゅきゅきゅとターンテーブルをスクラッチする。


 それを横目に、ボクはグラスになみなみつがれた聖水を、ぐっと飲み干して。

 ソーマ。人類の歴史に酔った。


 *


 アカ、アオ、ぐるぐるばらばら。


 I'm fucked up!


 ぱん、ぱん、拍手。

 お前ら飲んでないのかよ男も女も全員飲めよソーマソーマソーマへいへい飛べ!

 コネクトしようぜ、ジャンプ。カエル星人が地球を爆散したんだって、きもくない? コメディなの?

 裸で叫びたい! 叫ぶなら、そう。

 

「ピラウ。それはピラフ。米米米、ピ・ラ・ウを宇宙に!」


 あたしは歌い始める。高らかに、地球の歌、それはバカの歌。地球人は全滅した。ボクのせいで。

「ああああああああああああああ!」

 そう、ボクは歌うのだ。そのためにここにいる。パープルは満足げ。だって彼は最後の人類。ボクもだけど。Hands Up!

 

 ボクに女という女が寄ってくる。つまり女女女。

 ムカデ星人がfucked up, fucked up。ソーマ一杯も飲んでないぞあいつ。絞めろ! エロがビッグバンの対極にふりまかれる。

「ムカデでーす。踊りませんか?」

「へそ踊りはソーマ5本飲んでから来い、このタコ! 足は8本までだ!」

 ムカデはタジタジ。彼の顔と第一肢は義体だった。ワンパンで殴って吹き飛ばすshit。

 HEY HEY HEY HEY!

 ムカデ男のが、左右に振れて数十メートル、それは大盤ぶるまい。ボクは縄跳びをして歌う。

「そう、これがボクの歌いたいこと。未来の肯定! アルカディアでアバンギャルド・パクチーを吸おうね、死のうね私たち」

 ドン、ドン、ドン、ドン。

 パクチーって食い物ですよ、カエルさん味覚大丈夫?

 マイクがボクのコア。コアって何だろう? 子宮WOMB? それは爆弾だ。爆弾魔。

 機長、当機はナイロビに参ります。飛行機乗ったことないんだよなああああああ、はい、ソーマをもう一杯。


 ドン、ドン、ドン、ドン。

 さっきからずっとこの音が流れてるのヤバい気がするってか4小節で音楽ができてるの自体が気に食わないんだよな7とかないのかよ、はい、ONE MORE SHOTそしてボクは訴えられ。

 みんな踊れ! モーツァルトのコアにもレモンをしぼってソーマ、コアがちゅぱんと弾ける! チュッ、可愛くてごめんなソーマの主成分、それはCH3OH。義体って進化してるんだねってパープルが言ってた。ちゃんと一杯飲んだよ、お前は? どんどん行こうぜ。ラララ。


 らららら、手を左右に振る、もう一曲。I'm fucked up!

 ねえ僕たちの脳はみんなクリーム色だったけど、そこにいるEVERYBODY、例えばハチ星人のプラナリア星人のキノコ星人の脳は何色? タンパク質でできてたらいいな、食えるから。うっ、胃酸。

「SHOT! SHOT! SHOT! SHOT!」

 お前ソーマ飲んでないの? 叩き出すぞ。

 だってこの世に男は一人。雷。lady、それは異星人だから、異星人女異星人。そしてターンテーブルを回すなら4。悲しい。それはオルガン、オルガン教師は殺したよ、ヤツはクズだったから。

「歌ってすごいね、コネクトしようねボクたち」 

 ソーマを飲みましょう。zzz。寝かけた。

 ららら、全員コネクト、ここで性は乱れ、子が生まれる。それは宇宙の子。ならばボクはみなしご。


「ららららら、ケニアに帰りたいのボクは」

 そしてボクは歌う。宇宙最後の歌。それはちょうどクジラ漁のような感じで、モリを突き刺すとソーマがどぽぽぽぽ。へいへい。

「米くえ、インド洋は爆散。爆弾魔の性!」

 ソーマって安いのかな。悪貨は良貨を駆逐する。なにそれ。物々交換経済って成り立つ? ストイックな軍人さんが「ハメを貨幣にしろ」と言った、それはもうコネクトだよ物々交換だよ。

「そう、獣のようにコネクト、それはJail!」

 ソーマをさらにもう一杯!


「っばばばばば! キャタピラ! ちょっとまって今変なところネジれた、クルぅクルう!」

 レッツゴー手を空高く挙げよう、あ、これはムカデさんの義体の腕か、もぎ取っちゃった。パープルは今日もダンディー、彼は銀色の鉄。は? 黒人じゃなかったの? そう、人類の地球のDNAは私の子宮に残っているのです。役に立たないかな。

「DNA、DNA,DNA。ヘイ、ヘイ、ヘイ」

 四つ打ち、みんな踊り狂え。そう、ボクたちは歌い続けるのです。死球で、子宮、支給で、I'm fucked up yeah。歌い続けるのです、ね、地球と子宮って似てるね?

 クラブを歩き回って歌う。flee! あの人どうなったのかな。死んじゃったかクソ。みんな踊り狂え幸せ幸せ幸せ!

「逃げて逃げてボクたちはハレー彗星っぁっく!」

 歌い切った? あ、パープルがターンテーブルを回す。足りない。もう一杯。


「YEEEEEEEEEEAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHH!」

 DIVA! そう、ボクたちの声は誰かさんたちと違って永遠に消えない、もっといい歌を歌うからね。なぜならばボクたちは80億人の代弁者、割れ目にはびこる虫! クラブに虫、うわあカマキリの卵ふんじゃった。水洗トイレって、いやそもそも、宇宙船って水の収支大丈夫なのかな。そしてfucked up 人類は私が殺った。ひひひいひひ。

「ららら、あなたのコアにぱんぱん。膨張する、それは宇宙が二周目、朝の4時に出てクルクルクルゥゥゥゥ! トロンボーンが聞こえる。そんな楽器は知らないのに……」

 ボク、眠いからもう寝るね。ごめんねパープル。zzz。宇宙に比べると、愛ってほんと、はかない……。

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