「長編 和風」を含む小説

　｢…ごめん、守れなくて…｣ 荒れ果て街の中、少年は一人呟く。 彼女の亡骸を抱えて、意を決したように札を取り出し、最後の望みを願う。 ──目が覚めたときには、私は泣いていた。 …

〈水鏡〉の均衡のもとに成り立つ世界。 神と人、そして鬼とも言われる「朧」の種族が棲む里都がある。 人は等里都に生き、死後は神々の住まう天里都と朧の住まう裏里都で亡者となる。 〈…

──約束です。私は貴方に必ずまた逢いにいきます。 それは懐かしい記憶であり悲しい夢だった。 ごく普通の中学生　新山さくらは前世の記憶を夢で見て神社に訪れるが、前世の敵の手下に…

　センタグランド国とエネメリア国。 　ふたつの大国の戦争は、センタグランド国大幅有利なかたちで講和交渉に入り、事実上のセンタグランドの勝利となった。 　長年大陸を苛んだ戦争…

アマテ歴一八〇八年、イズル国。国を守護する任についている九代目護国の元に、彼の「ニエ」として一人の少女が無理やり送り込まれた。徐々に鬼になる呪いを受けた一族の末裔である九代目護国…

巴市の日々（商業書籍版タイトル「陰陽師と天狗眼」）シリーズの番外掌・短編などを収録予定。 １stシーズンはコチラ⇒https://kakuyomu.jp/works/117735…

文明開化に沸き立つ時代。その波は菓子の世界にも広まっていたが、和菓子職人の父を持つ杏は食べたことがなかった。 使いの途中に出くわした人は五年ぶりに再開した青年だった。礼だと振る舞…

■あらすじ 雨に煙る里道で、無宿渡世人・丈之助はひとりの盲目の少女と出会う。 足を痛め、行き場を失った少女を支える丈之助。 だがその出会いは、かつて彼が斬った男の娘――過去の罪…

杜の宮原市の僻地、青葉ヶ山に住む少年、朝山ホムラ。 共に暮らす祖父や分校の友人たちに囲まれ、田舎で平穏な日々を送る普通の小学六年生――だった。 連日、杜の宮原市内で人を襲う熊の…

時は現代。 とうの昔に失われたとされた忍びの里は、霧や雨に隠れながら今も残っていた。 霧隠れ、伊賀の立花家次期当主、立花楽。 雨隠れ、甲賀の法雨家次期当主、法雨里冉。 二人の少…

「もうすぐ船が出るわ。その船に乗るべき人間を、私は見分けているの。もうじき、清浄なる世界に手が届く。…一度は失敗したけれど」 地上の国々が滅びた理由とはなんだったのか。 呪いの…

ちょっとだけ人と違う物が視える体質の翠。その原因も正体も分からぬままに、全てを気のせいだと言い聞かせながら、家族とも距離を置いて淡々と生きてきた。 あるとき翠に舞い込んだ見合い話…

（私で百人目……） 須佐之男命（すさのおのみこと）が荒神となってから、九十九人の巫女たちが犠牲となった。 そして、今度は私の番……。 須佐之男命の怒りを鎮めるため、彼の花嫁となる…

乱世の只中、山州の盟主戈家の末娘・胤姫は、隣国介家の嫡男・炎と政略の婚儀を結ぶ。 だが幼い二人は文を重ね、少しずつ心を通わせていった。 時は流れ、偉大な父の死と兄の失政により、戈…

（あらすじ） 家電販売員として訪れた村で、雷神様の生け贄にされた鈴木美智留。目を覚ますと、和風の屋敷で異世界だと言われる。気持ちを切り替えて、家電製品を使いスローライフを満喫す…

二十歳の萌黄は、結婚初夜に夫と妹の不貞を目の当たりにする。 初夜を逃げた萌黄は、メイドとして使われ虐げられる日々。 倒れた彼女を救ったのは、夫の弟・海斗だった。 海斗は萌黄を…

【カドカワBOOKS10周年記念長編コンテスト中間選考突破作品】 　龍華国に生まれた皇女＿＿水月は、生まれつき特殊な能力を持った「稀子」であった。 　しかし彼女が3歳を迎えた…

大学受験を終えて深夜のコンビニを堪能していた少女・千里（ちさと）は帰り道で派手にすっ転ぶ。 痛む後頭部を擦りながら起き上がると、そこは知らない場所であり、千狸浜（せんりはま）神社…

古代日本を舞台にした異世界ファンタジーです。 オリジナルの小説を投稿するのは初めてですので、これから少しずつ続けていければと思います。

　昔すんでいた町に、転校というかたちで戻ってきた、中学一年生の小森あしか。 　この町での思い出のなかに残るのは、いつかあの神社で出会った――大きな耳と、ふわふわのしっぽを持つ、…