「円城塔」を含む小説

スプリングヒルという街を目指して、国道86号線を南下する。時間は十分にある……はずだった。強盗に襲われ、殺人現場に遭遇し、家を追い出されて途方に暮れる老人に手を貸す。思いがけない…

『私だけではありません。この国では、百年ほど前からみんなこうなのです』 　外国から工場の取材で訪れた私は驚いた。その国は、国民全員が耳が聴こえず喋ることもできない、それが当たり…

書類によくある職業欄、ただ無職と書けばいいだけなのに手が止まる。 俺にとっては屈辱的な行為だ。 ※小説家になろう、エブリスタにも掲載しております。

　純粋無垢なる都市住民たちは、審問官が近づくとその場を素早く譲る。彼らは遠巻きに審問官たちの姿を見ながら、ひそひそと噂話をする。 　黒い外套、帯剣、そしてなによりも特徴的な金糸細…

俺は地域猫のタマ子を愛する三十歳の会社員。 食品メーカー「川井川フーズ」の開発室で働いている。 残業続きで終電で帰ることもしばしば。 そんなある朝、俺の頭には猫耳が生えていて……。

お題でカクコン挑戦企画 お題「宇宙人が落とした靴」

　二人で歌手になることを夢見てきた、鈴音（すずね）と歌奈（かな）。デュオデビューが決まり喜んでいたのも束の間。プロデビューできるのはひとりだけというプロデューサーの言葉がふたりの…

湖畔のホテルで喧嘩をしたカップル。恋人を追いかけボートを漕ぎ出した女が見たのは――

主人公が目が覚めた時、そこは学校の敷地の中だった。目の前にいた上官は、主人公に銃を手渡して言う。「階段は登らないで」。主人公は安全装置を外された銃を片手に、潜入していく。しかし敵…

ある探偵事務所のエース探偵が深刻な顔で所長の元にやってきた。 どうも、推理のしすぎて朝朝食に出てきたサバ缶と密室殺人の区別が付かなくなったそうだ。 疲れてると思った所長はその探…

君に伝えたい僕とそれを邪魔する、虹や雨。

「いやー、りっちゃんが食べてるのを見るのが好きだから、観察してた。すっごく可愛いだもん。俺はそれだけでおなかいっぱいになっちゃうし！」 　龍城がいてくれると、それだけで私の世界…

失恋の傷を抱えた僕は、謎の肩書ガチャにより、突然出世街道を爆進しだす。 果たしてハンドルを回すだけのサクセスストーリーに終わりはあるのか。

コストコに買い物に行っただけなのに、とんでもない出来事に巻き込まれて、結果とんでもない買い物したって話🫢

　とある神社に突如現れるという「よろず屋コンコン」。死を決意した者が辿り着く最期の場所。店主のコンコンさまは気まぐれな真っ白なお狐さまで、コンコンさまのお眼鏡にかなえば、どんな願…

　このお話は、ある看護師が語る、悍ましい死を遂げた患者さんの話です。 「今夜は、赤い月が出ているのね」 　眞方呂（まほろ）さんという名の還暦間近の寡黙な美しい御婦人が明かした最初…

お客様は神様でした。 だから、僕は嬉しくなったのに。 え？　どうして逃げるんですか？ ※小説家になろう、エブリスタにも掲載しております。

中学校の同級生が、ホストになっていた。爽やかなスポーツマンだった彼の変貌に驚く間もなく、声をかけられ、連れて行かれたのは『あの街』の外れにあるバーで……。 男子大学生の、忘れられ…