Singing Bird

喜島 塔

第1話

 激しい怒りを色に喩えるなら、当然「赤」だろうと思っていた。躰中に張り巡らされた血管を走る血がぐつぐつと煮え滾って爆発するようなイメージ。でも、実際は違っていた。


 テレビ画面に映し出された彼女の満面の笑みを見た瞬間、熱を失った青い血が、私の体温と呼吸を奪った。朦朧とする意識、氷のように冷たくなった手足。ああ、私は裏切られたんだなあ、と頭だけが冷静に理解した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る