第2話

「デュオでデビューするという話はなくなった。デビューできるのは、鈴音すずね歌奈かな、どちらかひとりだ。ふたりでよく話し合って決めてくれ!」


 デュオデビューを直前に控えた私たちに向けられた、プロデューサーの想定外の言葉に私たちは動揺を隠すことができなかった。暫くの間、重い沈黙がその場を支配した。沈黙を破ったのは歌奈だった。


「私たちは、5歳の時からずっと一緒に歌ってきました。ふたりで歌手デビューをすることが私たちの夢です。私たちはふたりでひとりなんです。どちらかひとりしかデビューできないのであれば、今回のデビューの話、なかったことにしてください! 私たちは、必ず、ふたりでデビューしてみせます!」


 熱を帯びた涙が頬を伝った。そうだ、私たちはずっとふたりでデビューすることを夢見て必死に頑張ってきた。きっと、またチャンスは巡ってくる! ふたりなら、きっとできる! 私は、そう信じた。

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