理不尽不幸のイクメン・オートマタ英雄譚

　約百年前、人類は魔王に敗北した。世界の99%以上が闇に呑まれ、人類の大半は死滅した。
　
　幸いにも闇の侵食を免れた村。そこに超不幸体質のアドニスはいた。その不幸っぷりは、日常生活のみならず、戦闘にも影響を及ぼすほど。

　そんな彼は人間ではない。喜怒哀楽のない、"オートマタ"だ。
　人と違う彼は、村の人に嫌われていたが、彼にも唯一親しくしてくれる少女がいた。最初は警戒していた彼も徐々に心を開き、彼女と友人になる日を夢見るように。

　しかしーー

　ある日、村に闇が迫り来る。人々の断末魔が響く中、魔王が現れ、少女を連れ去っていく。
　敵が押し寄せ、死を悟ったその時。アドニスの肩に謎の少女がぶら下がる。「ママは死なせない」と謎の言葉と共に、彼の腕は敵のように黒く染まる。

　死体の山を尻目…続きを読む