概要
死にたいと思うのなんて、夕飯の献立を思いつくのと変わんないや
階段を一段上がる。わたしを振り返る。
階段を一段上がる。軽くつまずく。
階段を一段上がる。友達を振り返る。両親を振り返る。
階段を全段上がる。彼と、目が合う。
わたしは、わたしの中のわたしと言葉を投げ合う。
「生きていたいよ」「生きて痛いよ」
これは、「自分は世界に無くてはならない存在だ」と勘違いしていた弱いわたしの、長期的な自殺。あるいは、わたしを置いて変わっていく世界が及ぼした長期的な他殺。
階段を一段上がる。軽くつまずく。
階段を一段上がる。友達を振り返る。両親を振り返る。
階段を全段上がる。彼と、目が合う。
わたしは、わたしの中のわたしと言葉を投げ合う。
「生きていたいよ」「生きて痛いよ」
これは、「自分は世界に無くてはならない存在だ」と勘違いしていた弱いわたしの、長期的な自殺。あるいは、わたしを置いて変わっていく世界が及ぼした長期的な他殺。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!情緒に落ちてゆく。
ふんだんに盛り込まれた情緒的な文章、それで紡がれてゆく薄暗い青春に落ちていくような、そんなイメージを抱いた作品です。
この作品に光などどこにもないのかもしれません。
あるのは読者を圧倒的な筆力で引きずっていく暗闇。
一人の少女と一人の少年が決めた、一つの方向性がどこに向かうかまだ、わかりません。
それでも作品に満ちた仄暗さは最後の答えを示しているような気もして、心地よい浮遊感すら漂わせています。
どこにでもあるようなことを繰り返す、どこにでもいる少女が抱く絶望に近い諦めは、得てして若者にありがちな誤りと思われがちですが、果たしてそうでしょうか。
そのアンチテーゼとなる少年の言葉には、深い…続きを読む