第15話

「んん…」


薄いカーテンの隙間から差す陽の光の眩しさに目を覚ました柚は、スマホの画面に表示された時刻を見て飛び起きた。


「えぇぇ!?」


時刻は既に13時過ぎ、一限を逃したどころではなかった。


「はぁ…もぅ…」


しかし、すぐに昨日の橙真との出来事を思い出し、別の溜息がでた。


(いいや、今日くらいはもう家にいよ…)


憂鬱な気持ちでベッドから這い上がり、よろよろとテレビをつけ、何か食べようと台所へと向かう柚。


冷蔵庫を開けてみるが、中には浮かれて買ってみた飲めもしない缶ビールだけが置かれていた。


「はぁ…買い物行かなきゃ…」


(…このビールは後で捨てよ…)


柚は唯一冷蔵庫で冷やされていた缶ビールを冷蔵庫の外へと出し、台所に置いた状態で買い物へと出て行った。


その台所に半透明な男が体操座りをしているとも知らず……。

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