第22話

「はぁ…まぁ、もう子供じゃないんだし…神様だとかなんだって言ってないで自分でなんとかしないとだよなぁ」



そう言って柚はパッと春から離れ、台所に放り投げてあった買い物袋から食材を冷蔵庫に入れはじめる。



「あぁ…えっと…」



あっさりと要求を諦めた柚に、春は背後であたふたと右往左往する。



そんな春に、柚は食材を両手に振り返って微笑む。



「よし!じゃあご飯にしよ!ご飯食べたら俺も考える!春もご飯食べて徳を積むプラン考えよう!なっ?」



「あ、はい…」



明るい笑顔を浮かべる柚に、春は少し俯いて頷くと、柚は春の顔を両手でガシッと覆い、自分の方へと向けさせた。



「え…」


「この家にいるなら、暗い顔は禁止!俺といる時も、暗い顔禁止!俺ももう暗い顔禁止!なっ?」



「わ、分かりました…」


「よしっ!じゃあ春も手伝ってよ、オムライス作るから、ニンジンの皮向いて〜」


柚に流れる様にピーラーとニンジンを持たされた春は「あ、ぼ、僕!やったことない…」とおどおどするが、柚は「教えるって!料理上手になれば、"料理の神様"とかになれるかもでしょ?頑張ろうぜ!」


と言ってサッとヘアゴムで春の長い前髪を結んだ。

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太陽に溶けたイカロスの翼のように 椿 @Tubaki_0902

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