第21話

「うん…僕にはまだ力が無いから…はやく徳を積まないと…」



「徳って…良いこと?」


柚の言葉に小さく頷いた春を見て、柚は閃いたように手を叩いた。



「じゃあ!人助けだ!神様って、困ってる人を助けてくれるんでしょ?」



「えっ」



キラキラと輝く瞳を向けてくる柚に、春はヒクッと口元を引き攣らせた。



「お願いだよ春!俺、昨日友達を怒らせちゃってさ…、たぶん、俺が迷惑かけすぎちゃったからだと思うんだけど…。どう謝れば良いか分かんなくてさ…具体的に橙真が俺のどんなとこに怒ってんのかも分かんないし…それが分かれば俺、次は絶対に橙真を怒らせないって約束するから!お願い!なんとか原因探って、謝るきっかけ作ってよ!」



「え、いや…そんないきなり…。原因を探るって言っても…僕には神通力なんてないし…」



柚の縋るような視線から逃れる様に顔を背けた春に、柚はガックリと肩を落とした。

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